高校生に伝えたいほんとうの情報科学

未来のユーザーインターフェイス

ユーザーインターフェイスとは、人間とコンピューターとのかかわり方全般を扱う分野です。画面にタッチした2本の指の動きに合わせて表示をグーンと拡大できるマルチタッチインターフェイス、モバイル機器に問いかけると答を教えてくれる音声インターフェイス、全身を使ったジェスチャーで操作するインターフェイスなどは、最近一般的になってきたもので、みなさんも利用したことがあるのではないでしょうか。

いまは、PCだけでなくスマートフォンをはじめとする身の回りの機器の中に何かしらコンピューターが内蔵され、日常の生活と結びついた新しい技術や応用製品がどんどん登場しています。それらの使いやすさ、使ったときに感じる心地よさが、製品の大きな価値になっているのです。

未来のインターフェイスに必要なのは、人間がコンピューターにいちいち指示を与えるのではなく、人間の自然な動作から人間が必要としていることを察して手を差し延べてくれること。つまり、ユーザーインターフェイスは「気の利く」コンピューターに向かって進化しています。

そのためには、コンピューターを使っている人間自体の研究も大切です。人間が2次元の絵から立体を感じるのはなぜか。マウスやキーボードを使ってデータを入力するときのユーザーの思考や動作は、どのように表現できるか。そして、コンピューターの動作によってユーザーの行動がどう変わるか。このような、人が無意識のうちにしている思考や類推を探ることも、研究の対象です。

そして、フレンドリーなユーザーインターフェイスの内側では、このような人間の意識にとけこむコンピューターの動作を実現するために、高度な数学を駆使したアルゴリズムが惜しみなく使われています。

ユーザーインターフェイス分野の魅力は、なんといっても成果のインパクトが大きいことです。いま作っているものが、来年には製品化され、世界中のたくさんの人の暮らしに直接影響を与えられるかもしれません。そのようなエキサイティングな熱気の中で、開発者は独創的なアイデアと技術を競っています。

2次元形状をつかんで自由に回転・移動・変形できるユーザーインターフェイス。ソフトウェアが物体の形状を考慮しているので、ユーザーはあたかも実世界の物体をつかんで動かしているような感覚で操作できる。

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