KV

専攻講演会

Department Lecture

専攻講演会

Department Lecture

自然免疫応答の遺伝的多様性を単一細胞分解能で理解する

感染症や自己免疫疾患のゲノムワイド関連解析(GWAS)において同定された感受性遺伝子座の一部は,細胞の免疫応答の遺伝的多様性に関連していることが示唆されている.本研究では,細胞の異なる環境下における遺伝子発現の遺伝的多様性を解析するGASPACHO (GAuSsian Processes for Association mapping leveraging Cell HeterOgeneity)という新たな統計手法を提案し,自然免疫応答下にある2万以上の線維芽細胞の遺伝子発現を解析した.その結果,ゲノムワイドに1,275箇所の応答発現量的形質座位(reQTL)を同定し,その3割が免疫に関係するGWASで同定された感受性座位との間に共局在化を認めた.一例として,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)との関連が認められたOAS座位のファインマッピングを行い,OAS1遺伝子のスプライシング変異がCOVID-19のリスクを上昇させていることを明らかにした.当日は、本研究成果の内容にとどまらず、疾患ゲノム解析分野全体の動向やガウス過程を用いた解析手法の今後の発展についても議論する。