昨今，情報システムは社会生活の基盤となっており，証券取引所のシステムダウンなど，システム故障による社会的影響は甚大である．その一方で，2025年にはIT人材が約43万人不足するとも言われており，これまで以上に限られた開発リソースで，信頼性の確保と機能の拡充を両立させることが至上命題となっている．その解決の一手段は，知的生産活動の1つであるソフトウェア開発の一部をうまく機械で自動化し，開発者の限られた時間を創造的な作業に割り当てられる環境の整備を整えることである． 講演者は，これまで，大規模なソフトウェア開発データを解析することでソフトウェア品質のモデル化を実現するマイニングソフトウェアリポジトリの分野で研究を行ってきた．本講演では，まずマイニングソフトウェアリポジトリの概要を説明し，次に講演者がこれまでに取り組んできた具体的なテーマとして，(1) リファクタリング, (2) バグ予測, (3) プログラム修正，の研究成果の一部を紹介する．最後に，ソフトウェア工学の方向性や展望について述べる．