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専攻講演会

Department Lecture

  1. 専攻講演会
  2. 情報処理と量子操作

専攻講演会

Department Lecture

情報処理と量子操作

近年、Shorの多項式時間因数分解アルゴリズムに代表される、量子力学を基礎とした情報処理が研究されている。総じて「量子情報の研究」とみなされるが、そもそも「量子情報」やその処理たる「量子情報処理」の厳密な定義はなく、量子情報という分野はその基礎が確定しているわけではない。量子情報の研究は分野の基礎が確立していないのにも関わらずそれをしていることになるが、これは物理学において「真の物理法則が分からないにも関わらず、その研究をする」と類似しており、量子情報が情報学と物理学の学際分野たる所以のひとつである。
一方で、量子情報処理が将来どう言う形で実現されようとも、量子系を使って情報処理を実現するならば、必ず量子力学の法則に従った操作(量子操作)を実行することになる。また、あらゆる情報処理は何らかの数学的な写像を用いて表現することが可能であり、情報処理とはその写像を情報処理機器にて実装することに他ならない。ゆえに、量子操作がどのような写像で表現可能であり、またどのような写像は量子操作で実現可能かを理解することは、量子情報処理が今後どのような形になろうとも必須の研究課題となる。
本講演では、いきなり具体的な量子アルゴリズムに踏み込むのではなく、量子操作を含む量子情報の基礎づけのところから振り返り、講演者が近年取り組んできた「高階量子操作」に関する成果も紹介する予定である。