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学生による学科紹介

情報科学科生は自分たちのことを「Iser」と呼びます。
Iser はどんな日常を送っているのでしょうか? 授業は? 演習、実験は? 食生活は? アルバイトは?起床就寝時間は? 色々な人に色々な生活を語ってもらいました。

座談会(大学院生)  | 朝原(修士一年)、アロンソ(博士二年)、小山(博士一年)、森藤(修士二年)
2015年02月27日
研究の話
森藤:まずは簡単に自己紹介をお願いします。
アロンソ:スペインから来たアロンソです。今井研究室の博士課程2年で、コンピュータ囲碁のAIのゲーム木探索について研究しています。
森藤:今の研究室を選んだ理由はありますか?
アロンソ:研究室を選んだときはスペインにいたので、ウェブサイトを見て決めました。同じテーマを研究していた先輩がいたのですが、僕が入った時には卒業してしまっていました。
小山:私はいま博士課程1年で、五十嵐研究室に所属しています。コンピュータグラフィクスやユーザインタフェースなど幅広い応用分野を扱っている研究室で、私は特にデザインの良し悪しを計算モデル化するという研究をしています。研究室を選んだ理由は、コンピュータグラフィクスに興味があったからです。卒業論文と修士論文はコンピュータグラフィクスのテーマで書きました。
朝原:本位田研究室の修士1年です。研究室はソフトウェア工学と自己適応システムをやっているところなのですが、私自身はモバイル端末のユーザインタフェースについて研究しています。五十嵐研も希望していたのですが、この研究室に配属されることになりました。
森藤:平木研究室の修士2年です。TCP通信の高速化の研究に取り組んでいました。コンピュータネットワークの授業が面白かったので、そういった研究がしたくてこの研究室を選びました。

森藤:アロンソさん、囲碁の研究をしているという話でしたが、囲碁は昔からやっていたんですか?
アロンソ:囲碁は昔からというわけではないですが、ゲームAIには興味があり、趣味を研究にしたいと思ったのでこの研究にしました。
森藤:それは日本に来る前から?
アロンソ:はい。コンピュータ囲碁では局所性鋭敏型ハッシュを使ってオープニングブック(注:チェスで序盤の定石という意味を表す用語、ここでは単に定石という意味で用いられている?)を使うという手法があります。今の定石は完全一致でないといけないのですが、これによって似ている手に対処できます。
小山:囲碁の研究をしている研究者は世界的にもたくさんいるんですか?
アロンソ:最近多いみたいですね。チェスや将棋の研究がやり尽くされてきたので。

森藤:朝原さんは、モバイル端末のユーザーインタフェースについて研究しているとのことですが、どんなインターフェースを作っているのですか?
朝原:これは以前行っていた、ARを使った技能練習支援の研究なんですけど…(デモを見せる)
小山:AR技術だけでなく、センシングと物理シミュレーションも使ったシステムなんですね。
森藤:これはもう学会発表したんですか?
朝原:WISSという学会で発表をしました。
研究室の話
森藤:結構みんな自由に活動しています。週に1回ミーティングがあって、それ以外は研究室でもいいし家で作業してもいいです。私は結構研究室にいるんですが、普段から大学に来る人はあまりいないです。雰囲気は、先生から学生に対して強制することはあまりなくて、学生が自由にテーマを選んでやりたいことをやっています。先生はそれをある程度フォローするというのがうちの研究室の流れですね。
小山:うちもそれと似ています。週に1回のミーティングがあって、それ以外は自由、基本的には家で作業する人が多い感じです。僕はずっと研究室にいるんですけど。うちの研究室は応用分野を扱っているのですが、研究テーマは各学生が自由に選ぶので、人それぞれ研究テーマが全く違います。僕はデザイン支援の研究をしているんですけど、人によっては三味線を弾くのを支援したいとか、地図のインターフェースを何とかしたいとか、面白い画像編集をしたいとか、紙飛行機を作りたいとか、本当に人それぞれですね。で、先生がそれをフォローするという形です。
森藤:学生間でものを見せ合って議論したりということはありますか?テーマが結構違ってくるので難しいと思うんですけど。
小山:そうですね、難しいです。
森藤:根幹にある技術も結構バラバラですよね。
小山:まるで違いますね。ただ、もちろん共通している部分も結構あって、研究ってやっぱ最初に研究テーマについてみんなでブレインストーミングして、実際に研究計画を書いて、関連研究を調べて、こういう手順で研究を進めていこうとか、この学会で発表しようとか... そういったどの研究にも共通している点については、活発にディスカッションします。
森藤:今井研だとアルゴリズムの話は共通なので議論は活発にできそうですね。
アロンソ:今年は人数が増えましたからね。半数くらいの人はよく大学に来ます。週2回、発表と輪読があるのでそのときはみんな集まります。僕はプログラミングとかは家でやるほうが好きなのであまり来ないけど、理論の勉強をするときは来ます。研究テーマは自由ですが、グループみたいなのがあって、グラフ理論をやる人たちと、量子コンピューティングの人、計算量理論の人、ゲームAI、マトロイドなど、いろいろに分かれています。
朝原:本位田研はソフトウェア工学と自己適応システムがメインなので、その2つはグループがあってみんなで研究しているみたいです。うちは先生から直接指導を受けることはほとんどなくて、近況を報告して指示をもらうことはありますが、基本的には助教の先生についてもらって指導を受けます。週2回、研究室セミナーと輪講会があってその日はみんな集まります。セミナーでは担当者が自分の研究の発表をして、他の学生、教授と助教の先生たちからフィードバックをもらいます。研究室にはなるべく来るようにと言われます。先輩も結構研究室にいます。
小山:そういえば平木研って、社会人博士の方もいらっしゃいましたよね?
森藤:私が学部生の頃に一人いらっしゃいました。その前にもそういう人はいたようです。
小山:企業と共同研究することはあったりするんですか?
森藤:企業の方と協力することはよくあります。実験に使う機器を借りたり、ネットワーク実験だと回線や機器を置く場所を借りることもあります。例えば、私がいるプロジェクトだとSCという学会で毎年デモをやっていて、アメリカと日本で通信の実験をしたりしているのですが、いろんな企業やプロジェクトの方に協力していただいています。
学会の話
森藤:学会の話が出ましたが、みなさんが参加する学会はどのような雰囲気ですか?
小山:SIGGRAPHというコンピュータグラフィクスの学会があって、最盛期には5万人近くが参加いていたような巨大な学会なんですが、論文発表をする人もいれば、アーティストがアート展示を行ったり、最新テクノロジを駆使した研究を展示する場所があったり、企業のブースがあったり、学会というよりはお祭りというような感じです。
森藤:実際に参加してデモをすることもあるんですか?
小山:自分自身は今まで論文発表しかしていないですが、研究成果をデモ展示をする人も多いです。あとはコンピュータアニメーションフェスティバルというのがあって、ショートムービーを応募して採択されるとSIGGRAPH会場の大きなスクリーンで上映されるというものなんですが、すごく人気で、みんないい席を取るために並ぶんです。そこには美大生が制作アニメを応募したり、ディズニー・ピクサーなどの企業がショートムービーを応募したり、最近上映された映画のメイキング映像が流れたりなど、SIGGRAPHでしか見られない面白いムービーが見られます。
森藤:面白いですね。そういうイベントとしての側面もあるんですね。
小山:人材交流がすごく盛んで、研究者でない企業の人も会議に参加できるし、アカデミックの人も産業のニーズを間近で知ることができたりします。
アロンソ:今井研だったら、データマイニングとか、ネットワーク、あるいはもっと理論的な学会があります。僕はゲームAIなので、箱根で開催されたゲームプログラミングワークショップに参加しました。初めて日本語でポスター発表したので大変でした。毎日温泉に入るのを楽しみにしていましたね(笑)
森藤:箱根ですもんね(笑)
小山:いいですね。ちなみにこの間私が参加した学会はハワイでした(笑)
アロンソ:ハワイの学会行きたいなあ。
森藤:初めて海外の学会に行ったときはどうでした?
小山:僕は卒論生の時にSIGGRAPH Asiaという学会で香港に行かせてもらって、初海外だったんですけど、カルチャーショックが大きかったですね(笑)
森藤:香港なら結構近いですね。
小山:距離は近いんだけど、価値観が結構違って、香港は中国の中では欧米文化があると思うんだけど、それでもカルチャーショックだった。ところでコンピュータ科学専攻は海外の学会に行く機会がかなり多いですよね。
森藤:海外志向なところはありますね。私も最初の学会が初海外でした。カルチャーショックはそこまでなかったのですが、発表はみんな何を言っているかわからなくて英語がトラウマになりました(笑)それ以降実験などでも何度か海外に行っていて、結構恵まれている専攻だと思います。
日常生活の話
森藤:普段はどんな生活をしていますか?
小山:学部生のときはサークルをやっていたので、本郷と駒場を行ったり来たりしていました。今はネットサーフィンと研究しかしていない(笑)
アロンソ:僕も研究が忙しくて何もしていませんね。
森藤:やっぱり土日も研究に取り組んでいるんですか?
アロンソ:それかだらだらするか(笑)
小山:院生になると曜日感覚がなくなるから、土日働いておいて、平日にたまに休んだりします。平日休むとどこかに遊びに行っても空いていたりするので。
森藤:私もあまり曜日感覚はなくて、週1回のミーティングを基準にしていますね。ミーティングの前日にがんばって、そのあとはすこし休むことが多いです。締め切り前とかは休んでいられないこともあるので頑張って作業したりしますね。
アロンソ:締め切りを自分で決められることも多いですね。自分でちゃんと決めないといけないです。
森藤:やはり、自分で締め切りを定めて自分でやることを考えていかないといけないというのが学部の生活との大きな違いですかね。
小山:その通りですね。
卒業後の進路の話
森藤:みなさんは卒業後の進路についてどのように考えていますか?
小山:どこかしらで研究者ができたらいいなと思います。うちの分野だと一旦企業研究者なってから大学に戻るという例も多いので、企業の研究所というのも選択肢として考えています。
朝原:私は今就活中で、自分の性に合ったところに行きたいと思っています。ずっとコードを書いていたいと思っているので、そういう仕事につければなと思っています。
小山:フロントエンドとバックエンドだったらどっちがいいですか?
朝原:フロントは人が多そうなので、人が少なそうなバックエンドがいいです(笑)
森藤:私は今年の四月から、自分の研究の流れで通信系の会社に就職することになっています。研究分野とやっていることは近いですが、研究よりは開発・運用に近いことをするんじゃないかと思っています。自分の興味のある通信の技術を活かしたいと思ってこの業界を選びました。実際にこの業界の人と一緒に研究することがあって、いきいきと楽しそうに仕事をしていたので、私も楽しく仕事できればいいなと思っています。
アロンソ:研究者にもなりたいけど、仕事の経験もほしいから迷っています。インターンシップという手もあるので… でもまずは研究成果を出さないといけないです。あとは、スタートアップを作るという話も友人としたりします。これからも日本で働きたいですね。
これから学科・専攻を選ぶ方へ
森藤:これから学科・専攻を選んでいく学生はどういう気持でここを選ぶべきでしょか。
アロンソ:本当に好きなテーマを選ぶことが必要ですね。途中でやっぱりやりたくないとなったら困りますし、好きだったら続けられますし、頑張れます。
森藤:自分の好きなことを時間をかけて見つけて、それに取り組んでいくことが重要ということですね。大学院では、個人でテーマを決めて個人で研究を進める事が多いので、自由にやりたい人には向いていると思います。家で作業したりとかも自由にやれるのは大きいですね。
小山:駒場生に向けてうちの学科についてコメントするとすれば、他にも情報工学系の学科はありますが、理学部情報科学科は理学と工学の両方をやるというのが特徴ですね。萩谷先生がよく言っていることなんですけど、現在、技術革新のスピードは加速度的にあがっていて、まさに激動の時代です。で、次々と新しくなっていく社会で生き残るためには、小手先の技術ではなく、理論を知らなくてはいけない。例えばどんなにHTML5のtipsを知っていても、数年後には意味が無いかもしれないし、そこで本当に役立つのは裏にある理論体系や数学であるということですね。
森藤:そういうところは何年たっても使われていきますからね。そういうのが学べるのが情報科学科の利点といえると思います。
アロンソ:情報科学なら趣味と研究が簡単に合わせられるところもいいですね。
森藤:なるほど、応用範囲が広いから興味のあるものが見つけやすいですね。
座談会(学部三、四年生) 〜日常生活〜  | 参加者:相馬、濱中、室屋(四年)、片山、丸中(三年)
2014年03月19日
ISの試練、課題
片山:情報科学科に入るとたくさんのプログラミングなどの課題を出されますが、まずその課題について。
丸中:いきなり重い話題から入りますか。
片山:まあ3年の夏は課題が中心の生活といっても過言では無いので…。
丸中:実験という名前で課題が出される。
相馬:実験の説明の拘束時間は実際30分くらい。あとは好きな時間に自分でやる。
室屋:資料にかいてあることを自分でネットで調べてやってたかな。
濱中:うん、だいたいそこから始まる。
丸中:なんか、ネットで調べずに課題をやろうとしてたんですけど…。
室屋:ポリシーとして?
丸中:なんか、チートっぽいのはなんか嫌だったんですね、自分としては。でそれで、頑張ってたんですけど…それが間違いでした。
一同:(笑)
室屋:それじゃ何をみてたの?
丸中:manとか、あとは配られた資料とかだけですね。
片山:僕は逆にネットでもたくさん調べたし、人にもたくさん聞きました。
室屋:そうそう、人にも大分聞いた。
濱中:それが一番正しいというか…。
片山:駒場だとあんまり協力したり、人に聞いたりてあんまり真剣にやってなかったんですけど…。
濱中:まあ、聞かざるを得ないところがあるよね。
濱中:あと最終的にはネットで調べてもできなかったりする。
相馬:調べにくいものとかもあるよね。
室屋:(注1)Curryはひどかった。
でも幸いにして、課題をやるものと調べものをする道具が一緒だから。
丸中:自分的にはシステムプログラミングが1番きつかったですね。
室屋:なんか、各課題でいくつか、大きな山とかがあって。
濱中:そこができないとずっと課題が溜まっていく一方で…。
片山:あと、よくわからないうちに実装させられることが多いですよね。
濱中:次の学期の講義で解説されるということが結構ある。
相馬:とりあえずやってみろみたいな。理論的にはあとからって感じで。
片山:そこら辺は人に聞いたり、調べるしかない。
丸中:自分で手を動かすことを重要視する学科といえるんじゃないかと。
室屋:だから教えてもらったときのありがたみはすごくある。
濱中:ああ、そうなのかあみたいな。
濱中:あと計算量理論とか、理論系の授業でも擬似コードとか作ってみてよとかいうもんね。理論だけじゃなく、実践もちゃんと考える授業が多い。あと、授業の実践を実験でやったり。
室屋:実装してなんぼの空気は少しあるかな。
濱中:ハードウェア関係は授業が先にくることがおおいかな。

注1) 関数論理型プログラミング実験で扱う実験的な関数論理プログラミング言語。
地下の生活
室屋:ハードウェア実験が始まると地下(学生室)に泊まる人が増える。
濱中:少し、設備が少ないのかもね。
片山:情報科学科は夜おそくまで地下に居残ることで有名(?)ですが、泊まる必要まであるんですかね?
丸中:個人差がありますよね。
相馬:俺はあんま泊まってない。泊まるのは嫌だったから。
片山:人数的にはどれくらいでしたか。
室屋:実際はそんなにいないと思う。普段から夜おそくまでいるのは数人くらいだよね。
濱中:それはボードゲームかプログラミングコンテストをやる人たちでしょう。でもハードウェア実験の締め切りの前の日はその倍くらいいる。
片山:僕もハードウェア実験の締め切りのときだけは泊まりましたね。
丸中:僕たちの学年は関数論理型実験の前日が多かったですね。僕たちの学年から提出システムに変わっててちょっとでも遅れたらダメになったんです、これまではメール提出ですこし甘かったのに…。
室屋:私たちの学年もハードウェア実験で締め切りぎりぎりまで課題をやってて締め切りの日の朝にあった小林先生の授業の参加率が低かった。授業が締め切り直前だったから。
片山:僕は同じことが関数論理型プログラミング実験と離散数学の授業で起こりました。
濱中:関数論理型はネットで調べるのが難しかった。あと分量も多い。
室屋:3年夏が1番きつかった。大学に行くたびに課題が増えていくから。
丸中:まあ、課題をみんなで集まってやる場所が確保されていて、1人ひとつ机とかがあって、研究室みたいな場所があるのは他の学科と比べても恵まれていると言えるのではないかと。
濱中:まあ、そこでは何してもいい。
片山:詰まったときに相談できたりとかできるのが1番いいですね。
演習ってどんなの?
片山:では演習についてですが…。
室屋:演習では問題をといて発表しないといけないんだけど、それがやっぱり難しい。
丸中:間違いがあるとTAとかに容赦無く指摘されますからね。
室屋:「なんだその帰納法は」みたいな。
濱中:大概なんか足りない。場合分けが不十分とか限定条件ついてないとか。合っていれば何もないんだけど。
濱中:メンタルは強くなるね。研究室とかいったときに質問とかに対する。
相馬:発表の練習にもなる。
室屋:研究室に行くと、貴重だったことがわかる。
丸中:問題が英語でした。
室屋:4年になると演習3とか、授業とかで論文をたくさん読まないと行けなくなるので慣れるのは大事。
CPU実験、実際は?
室屋:発表直前まで実装してました。
相馬:当日に3rdアーキテクチャが完成するんじゃないかとか思ってました。
濱中:僕の学年はかなりチャレンジングなことをやってる班が多かったね。それで結構ぎりぎりまで高速化を頑張っている人が多かった。
室屋:なんか基板を冷やすと安定して動作するとか言ってやってた人もいた。ギリギリの論理合成だからて。
丸中:僕達の学年はあんまり速い班はいなかったんですよね。学年によって大分雰囲気が変わると思うんですけど…。
片山:全体的にあんまりやる気がなかったですね。
丸中:いろんなモチベーションの人がいるから、それをどう埋め合わせていくかていう、グループワークの大切さとかが分かりましたね。
濱中:班の中でモチベーションが違うと結構不都合が出てくるよね。
室屋:ちょっと忙しくてこれないとその人の仕事が7割方終わっているてこともあった。
しびれを切らして他の人がやっちゃったとか。
濱中:自分の仕事がそれができないと進まないからやっちゃうみたいな。
室屋:自分の仕事がやられてしまった人はまあしょうがないかて諦める。
室屋:まあやりたい人がやれるだけやってたて感じだね。
濱中:1班に一人くらいそうやってやる気ある人がいた。班を回していくような人が。
丸中:僕達の学年は連絡を密にとってなくてうまく行かないことがあって。班員がなにやってるかわからないとか。
濱中:うまく回んなくなったときは連絡をとんないとダメだね。
丸中:それが全体の教訓でしたね。
   消息不明になった人とかが出てしまって。
室屋:グループワークなんて大学ではそうそうやる機会がないし。
   動かないと誰のプログラムにバグがあるのかわからない。
相馬:シュミレータのバグをコンパイラ係が見つけたときもありました。
室屋:それもグループワークかなあ…
濱中:まあこのグループワークは社会で役立つんじゃないかな。
 共同研究とかはまたちょっと違うけど。
丸中:まあでも精神力は付きます。
1ヶ月ずつ3つの研究室を体験する、演習3
片山:演習3では何やるんですか。
濱中:研究室によってかなり変わる。論文読むのはどこも一緒?
室屋:輪講もあった。その分野の教科書とかからみんなでひとつ選んで、毎回担当を決めて読んでいく。
濱中:論文を読んで再現実装を行うのが多かったかな。完全にできなくても基本のアイデアだけでも実装してみる。
相馬:実装系だとそんな感じになるよね。あと輪講じゃなくて、1人ずつ教科書決めて読んでいくのもある。
濱中:輪講なら担当分が進捗で、実装系なら今やっている内容が進捗になるし、教科書も読んだ分が進捗になる。
片山:それは教科書の内容をまとめる感じなんですか。
相馬:まとめるというよりも、この証明面白いからやってみますという感じ。聞いてる側も人によって研究分野違うから、俺が発表する内容を必ずしも知っている訳じゃない。だから習ったことを要約するようにしゃべっても伝わらなかったりするから、ひとつ選んでそれをみっちりやった方が聞いてる側も満足度高い。
濱中:わかるように説明しなかったら意味ないものね、さらっとまとめても。
片山:けっこう研究室内で交流があったりするんですか。
濱中:話聞いてアドバイスしてくれる人がいたり、先生が似たようなことやっている人をちょっと紹介してくれたり。
室屋:あと研究室の中の人たちで喋ってる雰囲気を見ることができてよい。
濱中:研究室の雰囲気をね、それはある。各研究室のだいたいの内容は講義とかで見るからね。
室屋:4年の夏学期は割とそういう講義ばかりじゃない?演習3でいろいろ研究室を見られるのはいいところだよね。
研究生活
室屋:(四年の冬学期から)研究室に入ると変わるよね。課題が投げられてくるわけじゃなくなるし。
濱中:1週間に1度、どうなのっていうのがやってくる。
室屋:だから1週間単位で過ごし方を考える。ある程度の進捗を作っていって話すと、次はこういうことかなみたいに言ってくれたりする。それを自分で見つけるにはまだわからないことが多いから。
濱中:自分で立ち止まっちゃうと辛いことになるよね。
室屋:週1のミーティングでも何でも、よく分からなくなってやることがないなら、自分からちゃんと言わないと。
濱中:そういう時はもう助けてって言わないと。それは大事だと思った。
研究室の雰囲気
濱中:うちの研究室はばらばらでミーティング以外のときはほとんど人がいない。夕方から来たり朝早くから来たり(笑)。でも夜遅くにはもう誰もいない、誰も泊まらない。
室屋:確かに普段から泊まるひとはいない。
濱中:結構地下から変わる。課題漬けの生活からも変わるけど、生活スタイルも1週間単位で長いスパンになるし。
丸中:研究室ごとの雰囲気は教授の雰囲気が一番大きいですか。
濱中:先生がどれくらい研究室に関わってくるかによる。ミーティングのときに来るくらいだったらそんなに影響力ないのかな。あとは学生の空気の方がもしかしたら支配的になるかもしれない。
室屋:教授の部屋と学生室とがあるけど、学生室は学生しかいなくて誰も来ない?
濱中:まあ先生は1時間に1回くらいはふらっと来て、何か必要があれば話すことはあるけど、それくらいかな。ほとんどこないからそんなに支配的ではない。割と学生の方が研究室の雰囲気を作ってる。でもそれは研究室によりけりだよね、きっと。
室屋:うちは先生が日に数回はコーヒーを飲みに来る。学生室にコーヒーの機械と先生こだわりの豆があるから。そういうことがあれば交流が増えるよね。
濱中:うちは秘書室なんだよね、コーヒーのマシンが。だからみんなそこと往復になる。
相馬:学生室には教授はほとんど来ない。助教はずっといるけど。
丸中:そうなんですか。
相馬:助教はまあ3年前くらいまではそこの研究室の学生だった人だから。こっちの方が居心地がいいとか言って、本当は別の部屋があるんだけどそこにいない(笑)。
卒論
室屋:卒論は大変だった?
濱中:大変ではもちろんあったけど、実装にシフトしてたからね。研究と実装は違うよみたいなことを言われた。役に立つことを重要視するか新しいことを重要視するか、という違いがあるらしい。すごく便利でも今までに知っている手法ならそれは研究じゃなくない、って、逆に新規手法でも、性能そんな上がらないなら開発とか実装としてはどうなの、って。
室屋:理論系だと実装のかわりに証明すれば成果がでるみたいなところはある。やりたいことを考えると必要な命題がでてきて、その主張を前に証明ができなくて悩むみたいな。これができれば…!って1週間くらい机の前で悩んでたりして。実装系だと評価が厳しいよね、既存手法に対してどうだとか。
濱中:テストしたり性能を見比べたりとか、何か入るよね。あと、過去にこういうのあるよとか、こっちの方がいいよとか(笑)。仕方ないよね、それは卒論の特権かな。
室屋:平木先生の話にもあったけど、卒論では研究して論文に書いて形にできることが大事だから、基本的にすごいとか新規性とかは多少仕方がない。
丸中:なるほど。
室屋:英語で卒論書くということについては?
濱中:卒論発表でコメントされてたよね。
相馬:英語がひどいって言われたり(笑)。
濱中:日本語だといろいろできるけど英語だと表現が単調になっちゃったりする。
室屋:でも逆にそれでもいいのかな、論文なら。
濱中:事実を簡潔に述べてるんだけどね。でも文章ごとの連結がうまくなかったり、まとまりがわからなくなったり。テキストがいいのがくるからそこは大丈夫だけど、あの論文構成法の。
室屋:あれ良かったよね。
相馬:あー、そうだよね。
丸中:そんなすごいのがもらえるんですか。わくわくする。
相馬:論文の構成とかをだいたい教えてくれる。あと良く使いやすい表現とか間違いやすい表現とか。
室屋:大まかな章の構成ごとに書くべきことを言ってくれるから、自分の卒論と見比べて、あ、これを書くのかって。
濱中:少なくとも何書いていいか分からないということにはならない。先生も時間ないしぜんぶ細かくみてくれるわけじゃないから、テキストがあると自分である程度チェックができる。
研究室生活
室屋:石川研は国際色豊かだよね。
相馬:国際色豊かというよりは日本人が少ない(笑)。ミーティングでも日本人と外国人の割合が半々くらいで、日本語と英語半々くらいで喋ったり。まあ英語使うのはどこの研究室でもだいたいそうだよね。
濱中:うちの研究室は石川研ほどじゃないけど留学生がそこそこいるので、ミーティングは割と英語のみ。まあ研究室の人の配分によるかな。先生も留学生が来てないときは日本語でいいよって言ってたから。
室屋:海外から人が来ると英語になる。今度ゲストが来ますと言われると、よし英語だって覚悟を決める。
相馬:英語怖がってると研究室の選択肢狭まるからね。
濱中:英語全く使わないということはないよね、きっと。
室屋:日常ないところはあるかもしれないけど。場合場合で使わなきゃいけない。
濱中:発表とかね。絶対英語は使えませんって人はいないんじゃない。程度は差はあるけど。
相馬:一回ね、研究室に外国の大学から人がきて、お前発表しろみたいに言われたのが一番怖かった(笑)。「英語ですよね?」「はい」って。急に言われてやったけど、あんまり的を得た発表じゃなかった感じで、途中から教授が説明し始めた。
濱中:でもそうなるよね。英語で、といきなり言われても整理できないし。
室屋:けど避けては通れない。英語で発表くらいはできるようにならなきゃなと思う。
濱中:でも研究室でいろいろ言ってもらえるうちはいいんじゃない。"I don't understand."は辛いけど(笑)。学会とかでできないよりはいい。
相馬:海外インターンとか行く人もいるし。
丸中:4年が楽しみなような楽しみでないような…。
ISを生き抜く
片山:これは来る前にやっといた方がいいよ、みたいなのがあれば何か。
室屋:案外なくてもなんとかなる、という方が収穫な気がするんだよね。
丸中:ぼく実際何にもなかったけどなんとかなりましたし。
片山:確かに、やった方がいいことはいくらでもありますけど、でも別にやらなくても、まあちゃんとよくなる。
濱中:ないなりのフォローはきく。あれば嬉しいものはもちろんたくさんあるけど。
丸中:面倒見がいいような悪いような、よくわからない学科で(笑)。
室屋:講義の内容のとりあわせは面倒見がいいんだけど、それぞれで面倒見がいいかはまた違う。あとはがんばってやってね、みたいな。
片山:でも助けを求めたら全然大丈夫だから、こっちからちゃんといえば大丈夫。実験のTAとかもたくさんいますし、親切ですし。
室屋:あとはまあ学生の間で助け合うと。誰かしらわかる人はいるから。
片山:確かにみんなわかんないことはほぼない。
相馬:それに飛び抜けてすごい人がだいたいいる。だからまあ最終的にはその人に助けを求めれば何とかはなる。
室屋:そのへんを変にこだわって、プライドとか持たなければ。
片山:そういうのを持っていると絶対損しますよね。
相馬:来る前からいろいろやっている人には本当にもう勝てないよね、だから。
濱中:逆に聞ける人が増えたと思えば、それでいいんじゃないかなという気がする。
片山:むしろ先にやっている人がいるから効率よくできる、という風にポジティブに見たほうがいい。
ISへの進学に必要なもの
濱中:別に必修の情報だけでも全然問題はない。入ってきてからで全部片付く。
室屋:駒場の内容を道具として使うことはあるけど。
濱中:それがわかんないと一歩も進めない、ということはないよね。やっときゃよかったとは思うけど(笑)。
相馬:結局IS入ってからが勝負。
濱中:本当に今まで学んできた内容に関係なく、いこうと思えばいける、それは利点かもしれない。入ったらがんばってねみたいな。
室屋:やる気ある学生を求めてます(笑)。やる気だよね最後は。
座談会(修士1年5月) 〜研究をはじめて〜  | 参加者:新井(M1, 30期)、澤崎(M1, 30期)、平井(M1,30期)、入江(助教)、 司会:谷田(M1, 30期)
2008年05月05日
はじめに
研究室に配属されてほぼ2ヶ月、5月のある日、修士1年の学生4人で集まって、日頃どのようなことをしているのか研究の話を中心に情報交換しました。ちょうど居合わせた助教の入江さんの話も伺うことができました。
論文・論文!・・・・読んで、書いて

谷田: 最近はどんなことやってるの?

平井: 今は論文書きかけてるんだけど、それまでやってたのは論文を読んで、それで何をやりたいのかまず決めて、それでやりたいことに共感できなかったらやめて、やりたいことはわかるな、とおもったらもうちょっと読んで、それで気に入らないところがあったら直してみて、ってこと。

谷田: ふーん。で、今はどういうことをやりたいの?

平井: 今はロジック(論理学)やってるんだけど、それはあちこちに首を突っ込みたいから。例えば非同期回路の設計について眺めたりしている。

谷田: ロジックと非同期回路の設計と、何の関係があるの?

平井: ええと、ロジックやってて新しいプログラミング言語が作れそうだな、と思ってちょっと書いてみた。で、書いてみたその構文と使われた実績のある非同期回路の設計用の言語の構文を比べてみると、ロジックを使って作ってるから型があって、型がつくとデッドロックしなくって。それでなんかできるかな、と。

谷田: なるほど。いろいろ首を突っ込みたいっていうけど、非同期回路以外はどんなものに首を突っ込んだ?

平井: 普通にソフトウェアを書くのとか。

谷田: どんなの?

平井: なんかGUIっぽい。つまり、同時にあちこちから入力があってあちこちに出力を出す、っていうのを。

谷田: 具体的にどんな感じ?

平井: やっぱり型がつくとデッドロックしない。

谷田: うーん、型がついてデッドロックしない、ってのが好き?

平井: 好きなのは線形論理っていうロジック。これが何に使えるかな?という感じ。

谷田: そうしたら型がつくとデッドロックしない、という方向になっている?

平井: そう、そういう感じ。

谷田: へぇー。ところで、今は論文を書きかけているって話だけど、1日何時間くらい書いてるの?

平井: 今はまだ2,3時間くらい。

谷田: どこで書いてるの?

平井: あー、研究室だな。

谷田: 研究室にはいつも来る?

平井: 来ない時もある。よっぽどめんどくさかったらこない。でもやっぱり論文がねー。他の人の論文見たい時に研究室のほうが便利。いや、家からでもちょっと頑張れば見えるんだけど。

谷田: やっぱり研究室のほうが読みやすいか。

平井: うん、読みやすい。

谷田: 研究室にいる時って論文の読み書き以外に何かやってる?

平井: たまに東工大の人たちと一緒にゼミやってる。あとは、留学生に囲碁教えてる。先生としゃべったりもするな。最近は論理学演習のTAやってるから、それの話とか。先生はなんか忙しそうだなー、と思うね。でも忙しそうなのにちゃんと自分の時間をとって時々マンガを読んでるのが偉いと思う。笑



いきなり世界が身近になった 〜プラハ出張、英語でセミナー〜

谷田: 新井君も平井君と同じ研究室だけど、どういう時に研究室にいる?同じような感じ?

新井: 僕も論文読みたくなった時とか、個人的に助教さんと話したいときとかかな。

谷田: そういえば新井君は明後日からプラハって言ってたよね?

新井: うん、ただで。(笑)えーっと、DNA 14っていうDNAを使って計算するっていう分子計算の学会があってそれでポスターセッションやる。

谷田: 卒論の時にやってた内容?

新井: あれをもうちょっと頑張って3月位に出した論文があって、それが通ったから、まぁ、発表する。

谷田: 卒論をやってみた感想は?研究ってどう?

新井: いやー、全然、まだ。あんまり卒論に時間をかけられなかったじゃない?だから、もうちょっと力いれてやりたかったんだけど。消化不良の感はある。

谷田: やったこと自体は面白かった?

新井: 卒論を書いたっていうのは。英語でああいうものを書いたっていうのは良い経験になった。

谷田: 学部の授業や演習と研究って違うと思った?

新井: 自分でやっぱり考えてプログラムとか作ったりっていうのは授業とは全然違う。自分のやってることについてみんなで議論しながら進められるっていうのはすごく良い。

平井: 萩谷研、ロジックのほうのゼミは英語になってしまった。

一同: おお。

平井: フランス、スイス、タイ、ベトナムの人がいるので。

谷田: そういえば、情報科学科でDNAをやろうとするのってハッキリ言って異端だと思うんだけど、最初っからそのつもりできたの?

新井: もともと生物系で。なぜ情報科学科にきたかというとそれは難しいんだけど。今までやったことない分野に首を突っ込んでみようと思って。ゼロから情報科学を勉強しようと思って入って。でもたまたまDNAをやってるってのがあって、両方できるってのがあって。

研究生活

谷田: なるほど〜。澤崎君は何してる?

澤崎: 卒論の話で仮想化でOSをサポートするようなものを考えたいなと思っていて、卒論の時は介入するようなものをやった感じで終わっちゃったんだけど。まぁ、それを対外発表とかにようなレベルじゃなかったので、院にはいってからは過去の研究を論文を読みあさったりしてる。結構数は読んだとおもうんだけど。それなりに論文を読んで、なんか自分でも手を出せることがないかな、とあさっている最中。新井君や平井君みたいに対外発表したり論文書いたりってことはなくて。

谷田: 論文を読みあさるのは楽しい?

澤崎: やっぱり新しい知見を知れるというのは楽しいと思う。 なんていうか読んでいる論文が仮想化系の有名どころのカンファレンスの論文で、そういうの通っているような論文なので。うまいことやってるな、と思うのもあればあれ?っていうのもあるな、っていうのは最近わかるようになってきたな。教科書読むのとは違って本当にここ数年の論文を読んでいるので。教科書だと5年前だったり10年前だったり、っていうのが、2年前とか1年前とか、の生の話なので。移り変わりの激しい分野だから最近のものを読まないといけないっていうのではだいぶ違う。

平井: まぁ、でも論文だけみてなにやりたいかわかんないときに、ちょっと古い本をみると何やりたいかわかったりはする。

谷田: そういう意味では今でも教科書を読む?

平井: なんか全然知らない話のときは眺める。眺めるだけで真剣には読まない。

入江: 新しい分野のことをやる時はまず参考書どさっと手に入れたりする?

平井: いや、よく知ってる人の所に行く。カテゴリ・セオリーを持っていて、カテゴリストのところにいって、カテゴリのことはカテゴリの定義しかしりません、といって、飲み会でわいわいやったりしてると、こういう人たちがこういうことやってるのか、っていうのがなんとなくわかる。飲み会重要だね。

谷田: 飲み会が重要かあ。カテゴリストって見つけやすい?

平井: 東大はみつけやすいよ、そりゃ。東大にいるメリットを感じる。なんかしらについて詳しい人たちが近くにいる。

新井: 凄い人たちがいっぱいいるのはいいね。もともとプログラミングできないで入ってきて。周りがみんなよくできる人たちだったから。なんか、やっぱ勉強やんないとな、っていう。

谷田: プログラムをほとんど書いたことなかった?

新井: ほとんどというかゼロ。

谷田: でも今は普通に書けるじゃん?それは何が良かった?

新井: やっぱりカリキュラムが。非常に「充実」(笑)してるから・・・

谷田: カリキュラムきついよね(笑)

新井: この学科、プログラム書けない人でもそれなりに書けるようになるね。っていうかならざるを得ない。じゃないと生きていけない。

一同: 笑

谷田: 生き延びれたコツはなんだった?

新井: 大学に来てたからだと思う。来なくなっちゃうとアウトだね。みんな友達が泊まっていたんで。なんか来ていっしょに話しながら課題やったりしてるとうまくいく。朝になって、そのまま授業にでたり。笑

谷田: 澤崎君も研究室によくいるよね?

澤崎: 家にいても進まないし。

谷田: 研究室にいるとはかどる?家のほうがはかどる、って人もいるけど。

澤崎: そりゃはかどるよ。あとはいろいろ人に会うし。隣の研究室の友達に捕まったりもする。笑

谷田: 隣の研究室って入りやすい?

澤崎: 入りやすい。笑

新井: 今日は家のインターネットが切られたから朝から学校に来た。料金払うの忘れてたら止められちゃって、メール読めなくなってそういうときにもこの学科は便利。笑

谷田: 不安にならなかった?

新井: 不安だった。何もすることないじゃん。笑

谷田: ネットワークがつながってない生活って不安だよね。

新井: 辛うじて携帯電話で。「料金がー」、と思いながら。笑

澤崎: この前学科の無線LANが泊まった時もみんな廊下にでてきた。ネットワークつながらなくなるとみんな雑談始める

谷田: ほんとみんながぞろぞろぞろー、っと出てきたよね

谷田: 他の研究室と比べてどう?うらやましいとことか優越感感じるところとか。笑

平井: 部屋が狭くて落ち着く。人も少ないし。

新井: でも、広いほうが寝やすそう。うちベッド1個しかないし。広いとソファとかでも寝れそう。

谷田: それが不満なんだ。笑

新井: いざとなったら浅野キャンパスのラボにも簡易ベッドがあるけど。(笑)DNAの実験用のラボがあるんだ。

入江: へぇー、そんなのがあるんだ。

新井: ピペット使って電気泳動やって、みたいなことをやるラボ。この学科でこんなことできるのうちくらい。


好きな事を楽しく!

平井: 谷田君の話も聞かせてよ。研究室のいいと思うことは?

谷田: うるさいこと言われないとこかなぁ。

平井: それ人によるよね。かまってもらったほうがいい、って人もいる気がする。今何やってるの?

谷田: 卒論の続きをやりつつ、全然違うことを始めてる。プリント基板作るぞー、とか言ってる。11月まで、って期限を設定されて焦ってるところ。笑

平井: でも目標あったほうがいいよね。なんにもなかったら2年かけてやりそうじゃん。M2の卒業までに。楽しいんじゃない?

谷田: 楽しいことは楽しいんだけど・・・あと、規格書読むのにいろんな人が付き合ってくれるのは幸せだと思う。

平井: 輪読みたいなことやってるの?

谷田: うん。

平井: 僕も読まなきゃいけない本がある。

澤崎: 読まなきゃいけない、ってのはどう判断するの?

平井: その分野にはこの本、って感じのがある。読まなきゃいけない、と思う本がある。

平井: プレッシャーがかかるという話だと、なんか演習のTAをやっていると、それの資料を作らなくちゃいけなくて。去年のが気に入らなかったから自分で作り直すっていうのをやっていると、なんかこの分野に関しては自分の言葉でいえるようになるからありがたい。

新井: うん。人にもの教えるのは勉強になる。

入江: 学部と修士で変わったところは?

谷田: 学部と修士じゃなにもかわんない。特に4年生の後半からはまったく。

平井: 研究室に入る時期にだいぶ変わるね。

谷田: うん、そのときに生活がごろっとかわって、そのあとはずっと一緒。

新井: なんで情報科学科に入った?

谷田: 高校生の時にWebでISerのアンテナを見つけた。

新井: おー。で、高校時代から憧れてた情報科学科はどうなの?

谷田: そのまんま。こんなもんかな、って感じ。

入江: 高校時代から憧れてた人には空気みたいなもんじゃん?当り前のことが当たり前のように。

谷田: ほんとにみんな地下にこもってるんだー、って感じ。高校生の時から1限がないことを知ってた(笑)でも、7号館が9時にならないと開かないのはどうかと思う。工学部の友達に言ったら「ありえない!」って言われた。1限の時外部の人はどうやって建物に入るの?って聞かれたから「1限なんてものは存在しない」、って答えた。笑

新井: 授業だけ見たら少なくて楽だよね。課題を早く終わらせればそれだけ自分の時間、みたいな。

澤崎: 課題かなり多いけど。笑

平井: 3年生の時から裁量労働制だ。

谷田: プログラミング能力に特化した人は割と楽かも。

澤崎: 理論っぽい課題はプログラミング得意でも結構苦労するよ。

平井: 大学院入って思ったのは、時々よそからお客さんがきて、時々僕も横から覗いたり、ちょっとかまってもらったり、って機会がある。

新井: 最初C言語を知らなくて凄く苦労した。ガイダンスで「すぐ追いつきます」、っていわれたけど、結構大変。

谷田: でも、最初から異様に知識持ってる人に追い付くのは結構すぐじゃない?情報科学科の特徴かなぁ?

新井: 何も知らないで入ってきても学ぶことが多い分凄くいい場所ではある。

平井: やってみないとわかんないことがあるから、情報科学科に来てみないとわかんない面はある。数学なんかだと一人でも結構できる。

平井: 友達をみてると、数学科は進学する前のスタートダッシュがちゃんと効いてくる。情報科学科みたいにすぐに追い付かれちゃったり、っていうことはない。

入江: 数学って学び方が確立されてるけど、情報って体系だった知識が身につかないのかな。大学に入ったときに得意だと思ってたけど、研究は全然違うことやってる。

谷田: 数学は高校時代にいい先生に1回でも出会ってるか?とかが結構響くよね。

平井: 友達で、親が数学の研究者で、小さい時から家庭教師について、ってやってるのがいるけど、凄くなってる。

澤崎: 話が戻るけど、線形論理が好きっていうのは最初っから?

平井: いや、見ていて気に入った。

澤崎: 他の人は何が好き?

新井: DNA

谷田: DNAをどうするのが好き?

新井: DNAの構造を考えるというか設計をするというか。配列を設計するというかいじったりするというか。

谷田: 配列をいじったりするのが楽しい?最終的には動くものを作りたい?

新井: なんか分子マシンっていう状態遷移をするマシンをDNAをつかって作れるんですよ。そういうのが楽しい。DNAコンピューティングをしたい。

澤崎:できそう?

新井: 実際につくってみて、みたいな。今なんかいきあたりばったりなんだ。実験とかも。芸術的な感じになっちゃってて。そこをもっと汎用性を持たせたい。

平井: 夢はいきあたりばったりでないDNAコンピューティング?

新井: ちゃんとこういうプログラムを動かしたいと思ったらそういうものを作れるようなDNAコンピューティング。

谷田: それには夢をかんじる?

新井: 最近頭打ちになってるような感じだけど頑張りたい。

澤崎: 僕は下のほうのレイヤーが好き。

谷田: そこに惹かれた理由は?

澤崎: なんかOSだけに任せるのはあまり好きじゃない。

平井: OSだけに任せるのはなんで好きじゃない?

澤崎: もうちょっと下のレイヤーにはさんで新しいことができたらいいな、と。まだ論文読みあさってる段階だけど。

新井: 結局仮想化するっていうのは抽象能力だよね。そういうの前から好きだった?

澤崎: 仮想化が好きっていうのは、世の中Windowsだけじゃないぞ、みたいな、そんな気分。

新井: OSのうまく抽象化って、すごいよね。同じじゃないのをこれとこれは一緒だよ!みたいな。

平井: 全部ファイルだ、みたいな。笑

新井: そういわれるととりあえず認めてもいいかな、みたいな。やっぱりあれ詐欺だよね。(笑)Standard I/Oとファイルっていわれても・・・谷田君は何が好き?

谷田: コンピュータの使い方よりもコンピュータそのものが好き。自分はコンピュータ作るから好きな用途に使ってください、って感じ。

平井: いいな、そういうの。なんかロジックが好きなだけでロジックの使い方には興味がないって言っても居心地が悪いからねぇ。偏屈な感じになる。

澤崎: そういう人のほうが多くない?

平井: いるね、こういう条件を満たすロジックが3種類しかないことを証明しました、みたいな。

一同: 笑

入江: 僕は谷田君の逆。科学少年って生き物がふるまってるさまにワンダーを覚えたり物理の素粒子にワンダーを覚えたりするわけじゃん?そのワンダーの興味の対象が僕が3年生の時につくば万博があって、情報技術によって開かれる未来、みたいなのがワンダーだった。ロボットがようやく歩きだした、とか。それで、高校時代に見えたのが、今はコンピュータの速度がそのボトルネックだと。ワンダーを見るために自分がコンピュータを強くしないといけない、と思った。

谷田: 平井君の場合、論理とかってわりと上のほうの世界な気がするじゃない?並列とか論理回路とかでてきたけど、それは上から下までやった強み?

平井: うん、そうだね。数学や哲学から入った人はハードウェアの話なんて最初から読む気もしない。僕は周りにそういう人がいるわけで、なんか見てもいいかな、と。で、見てみるとやっぱりなんか繋がりがありそうだったりする。数学とか論理やってる人って時間の概念がなくて。どんなに時間がかかろうと答えが1つに決まれば計算可能だから。

谷田: なるほど。いろいろ聞かせてくれてありがとう。
座談会(修士) 〜人それぞれ、時間の使い方・情報科学科の魅力〜  | 参加者: 五十嵐(M2, 17期)、渡辺(M2,17期)、吉羽(M2,17期)、遠藤(M1, 18期)、石井(M1,18期)、司会:中出(M2,17期)
1996年04月14日
はじめに
まだまだ研究はこれからっていう修士の1年2年生をあつめて、学生としての話を伺いました。
情報科学の学生ってどんな感じなのか?
ここに登場する皆さんの話から感じとってみてください。
普段の生活


司会:まず皆さんが普段どういう生活を送っているか聞いてみましょう。じゃ、遠藤君の生活は?
遠藤:11時に下宿で起きて、12時に学校に来て飯食って、6時位でバイトに行っちゃう事もあるし11時くらいまで仕事して下宿に帰ることもあるし。ハードモードは卒論の時で、時間は特に決まってなくて、朝学校で起きて、引き算すると18時間位研究するか飯食うかしてて、後は寝る。俺はこれで満足してるんですけどね。

司会: 石井君は?

石井:僕も卒論の時は結構泊まったりしましたけど、最近はヘルシーで、、、特に企業の人(注1)は朝9時には来ると。9時6時で。研究室自体が会社みたいで。学生はもうちょっと遅くて僕自身はゼミの直前とかは泊まったりしますけど。普通は午前中に研究室に来て大体7時位には帰ると。

吉羽: うちの学科の人って色々な生活パターン持ってるよね。10時にキチーッと来て定時に確実に帰る人もいれば、24時間どの時間帯にも同じ位に睡眠をとる不思議な人もいるよね。
さまざまな生活パターン
司会: 渡辺君は?

渡辺:私ですか。じゃあ、今日の1日。昨日12時に寝ました。今日は6時に起きました。それはバイトがあったからです。で、午後の授業があると思って学校に来てみたら開校記念日で休講だったりして、、、、、普通は終電で帰ります。で、ヘルシーじゃない時は昼前に学校に来てお弁当食べて、で端末に向かって色々して、で11時くらいになると研究室の中で○×に誘って頂いたりしまして、勝ったり負けたりなんかして終電を逃すと。で終電を逃すとしょうがないからニュースを読んだりプログラム書いたり。で、明るくなったら寝ますと。でまたお昼前に起きて、お弁当買って、続くと。以上っす。

石井: まあそれなりにリズムがあるっていうのはいいですね。

一同: (爆笑)

司会: じゃあM2のヘルシーの権化といわれている五十嵐君。模範を。

五十嵐: 3月に春休みでちょっと堕落して、学校に行くのが30分くらい遅くなった。

司会: その程度か(笑)。

五十嵐:通学時間100分。今日は、まず7時40分位に目覚しが鳴る。起きると8時10分位だったりする。で飯は10分で食ってしまって、大体9時頃家を出て、10時半位に着きます。で、研究室にはまだほとんど誰もいないと。で、いるかと思いきや前の晩から泊まっている人だったりすることが往々にしてある。でまあ午前中は大体メールとニュースを読んで終わると。ほんとは午前中誰もいない時に自分一人の仕事をするとはかどるんだろうが、最初はやっぱメールは読むよね。でニュースも何故か読んでしまって午前中が大体終わって、で午後からぼちぼち仕事しますかってこう始めると。で気がつくと6時半になってたりするので帰ると。ほとんど端末の前にへばりつきっぱなし。

石井: 仕事が終わんなくってちょっと6時半には帰れないってことはないんですか。

五十嵐: 7時半位まで延びることはあるけど、そしたらもうできなくてもいいから帰ってしまう。健康優先。

渡辺: ヘルシー過ぎる。

五十嵐: で、家帰ったら基本的に何もしない。

渡辺: あ、それ同感。家では絶対何もしない。

五十嵐: で、結構夜ってメールが多いから、家に帰って寝る前にメールをチェックして寝ると。

司会: 何時くらい?

五十嵐: 大体12時半位かな。

吉羽: 考えてみたら五十嵐の生活を全部4時間遅らせたらちょうど俺の生活になるな。
アルバイトとプロジェクト
渡辺: 変更なし?バイト等々でずれたりとか?

吉羽: この1年はやらなかった。4月頃WWWの仕事で1週間に4日間くらい泊まっててバイトできる状況じゃなかったから、そのまま。

司会: 皆さんってあんまりバイトしてないんですか?

石井: 僕全然やらない方なんですよ。時間拘束されちゃうのが、、、。

司会: 遠藤君は?

遠藤: 週に3回くらい泊まります。

五十嵐: あ、そっかそっかそっか。バイト先に泊まる人ですね。

司会: あ、プログラミングのバイトね。強い。渡辺君はやっぱ塾講(注2)?

渡辺: そうですね。僕は2つの所で塾講を。1つは専門学校のバイトだし、1つは小学生相手に算数を教えてる。

司会:僕なんかはちょこまかちょこまかいろんなバイトをやったけれども、去年までは某総研でデータ収集、編成みたいな事をやってて。これは割といいバイトだったんだけど、このプロジェクトを引き受けた時に、カチッとやめました。で今は代わりに上の先輩から引き継いだ塾講のバイトをやっております。で僕の普段の生活は最近がらりと変わってしまいました。変わる前は、まずうちで昼飯を食うのが目標だった。

一同: (笑)

司会: で、うちで昼飯が食いたい理由は昼飯代が浮くから。

渡辺: 学生らしいですね。

司会: だから以前の生活は、まず1時か1時半位に起きて「昼飯ー」っていうと親が出してくれる。で食べてウダウダしつつ学校に行くと4時か5時と。

五十嵐: その間の3時間位は..。君がそんなに通学時間が長かったなんて聞いたことないぞ。

司会: (笑)で学校に行ってニュースとメールをパラパラっと読んで買い出しとか行くと、あら6時だと。でその後にまあちょっと研究してみたりダベッていたりしてると、あら8時だと。

五十嵐: うん。

司会: じゃ、帰ろうと。

一同: おーっ。

五十嵐: 強烈だなあ。

司会: で家に9時頃帰ってちょっと遅めの飯を食うと、あらもう11時ねと。でチョコマカと適当なことやったり人に電話したりするとパーッと時間が経って、3時4時になっている。で、おやすみなさいと。 と、そんな感じの生活をしてた頃もあった。

渡辺: で、最近は?

司会:まず朝大体、6、7時に起きて、学校には8時頃には来ると。それで仕事を始めて午前中に人と事務打合せとかやって、で午後は他の人がいるから人と一緒に作業すると。研究室のプロジェクトがあったので共同でその仕事を進めて。でそれと同時にこのプロジェクトの仕事もあったので、そういう仕事をやっていくと、あっという間に11時とかになっている。それで今までは飯はウダウダ食べてたのが、飯が人との意見調整のミーティングの場と化した。で気がつくと11時回ってるからヤバイってメールとかババッと書いてくうちに12時位になって、ダッシュで終電に乗ると。

石井: 事業家のような。

司会: そういうとかっこいいですねえ。

五十嵐: で、1時頃帰ると。

司会:そうそう。で、明日こんなことやろうって大体決めて寝るのは2時か2時半。そうすると大体4、5時間しか寝れない。3月一杯はそういう生活してたけど、最近はもうちょっと楽になりました。あ、それで土日に睡眠を補給する。土日のどっちかに8時間位寝ると、補給終わり。で、また1週間ガーッと。そんな感じだったかな。この2つの両極端があまりにすごくて始めは体がブッ壊れるんじゃないかと思ったけど、慣れてしまった。でももっと徐々にブッ壊れてるのかも知れない。もうちょっとマトモな生活したいな。

五十嵐: 君の目指すマトモな生活とはなんぞや?

司会: いやあ、五十嵐君の生活はかなりマトモだと思いますよ。

五十嵐: 師と仰ぎなさい。

司会: 結局まとめるとやっぱり、各人各様のライフスタイルがあって、生活できるっていうことだよね。その辺がヤッパ時間がカチッと決まってる高校とか他の普通の学科とはとは明らかに違う。

五十嵐: でもさあ、ほんとに1時間もコアタイム(注3)ないと困ることあるよ。

司会: ま、そのために週に何回かミーティングがある。

五十嵐: そうなんだけどさ、あなたがここにいて欲しいとかいう時にいないことってかなりある。

吉羽: うちのコアタイムって4時から6時とかその辺だし。

五十嵐: 私の生活はどちらかというと少数派なもので。

司会: 人とオーバーラップする時間が少ない訳ね。

五十嵐: 確かにうちの研究室って、7時すぎがみんな全盛期だし。でもある程度コアタイムがあった方が...。

石井: ま、仕事ができればベストですよね。

司会: やっぱり結果を出すべく固有のライフスタイルを持って、日々仕事を進めていくっていうのが理想ですね。 ..........

情報科学科に来た理由
司会: じゃあ次に、皆さんなんでこの学科に来たんですか?

渡辺:僕、小中高大学とずっと剣道やってて、全然勉強とか研究とかに近寄ってなくて。で、せっかく大学まで来て何もやらないんじゃシャクやなあと。僕は都内の私学で、だから回りの人は就職する人が多かったけど、色々考えてヤッパここがいいかなあと。その時はかなりイメージで選んだ気がします。ま、先輩とかに話を聞くとかなり自由にやらせてくれそうなんで、ここにしようと決めたってのがありますね。外部から見た僕の目では、ここはみんなマイペースでやってるってのが非常にあって、生活スタイルもそうだし。研究に関しては研究室のカラーがあると思うけど。この学科で初めてガイダンスがあった時も、先生方がいちいち細かくアドバイスしてくれるというよりは、君達のやりたい様にやって下さいねっておっしゃって。みんなそれでも自主的にやってるし、できるから。僕も流される方だけど、みんながやってればなんとなくやれてるかなあと思いながらここまでやってきたから。やっぱり来て良かったなあと思いましたね。

司会: 五十嵐君は?

五十嵐: 俺、「どうしてここに来たの?」っていう質問は一番避けてたんだけど。...ずばり、消去法って奴ですね。物理は苦手でした。で、数学は好きだったんだけど、駒場に来て最初に解析の授業やった教官が強烈だったので、解析の授業は1回か2回しか出たことありません。でまあ数学はやめて。で、そうするともうほとんど行く所がなくなってしまった。

渡辺: 工学系に行かなかったっていうのは?

五十嵐: あのね、あまり実用的なことに興味がない...。

渡辺: そういうもの作りとかっていうのは魅力を感じなかった?

五十嵐: っていうか、それでもいいんだけど、他の理屈っぽいことをやりたいなあと思っていた。であとは、1、2年生の時の講義で論理学とか結構面白くてきいてた。でコンピュータもかじったことがないでもなかった。で、結局いつの間にかここに来ていた。

司会: 遠藤君は?

遠藤:中高生諸君のために説明しますと、東大つうのは2年までは学部が決まってないで、3年になる前に自分がどこの学科に行きたいか決める訳ですね。で、その選択というのは学科の実態を知らないままなされねばならないので、泣きを見る人も時々いるという進振りという制度なんですが、それはおいといて。...一人で話すのつらいっす。

石井: 適当な突っ込みを。

司会: それじゃ。..泣きを見たんですか?

一同: (爆笑)

遠藤:大した葛藤はなかったんですけど、他には物理とか数学とか考えてて。あと、当時の俺はやっぱ五十嵐さんと同じで理論の方が自分に向いてるに違いないと思って。高校時代、実験苦手だったし。まあそうすっと、何か数学、情報科学、物理って書類には並んでいて、でそん中から選ぼうかなって思うと真中の情報科学にしようかなと。ま、それは一因でしかないんですけど。

司会: じゃ割と前々から興味を持っていた所に結局はやはり順当に落ち着いたと。

遠藤: ま、割と順当にいってるに違いないと。

司会: 工学系で計算機を扱ってる所を選ばなかったのは?

遠藤: なんか最初に理学部にしようかなって勝手に決めちゃったんですね、当時の俺は。今なら工学部を選んでたかも知れないんですけど。まあ、そういう平凡な道を選んできた私です

司会: 石井君は?

石井:大学に入った時はあまり何も考えてなくて。で、理一ですから理学部か工学部がメジャーですが、工学部を選ばなかったのは中学高校の時からとくにメカをいじってた訳でもなくておとなしく勉強してるタイプで、なんとなく理学部を考えていて。で、情報科学を選んだのは、コンピュータは大学に入るまでほとんど触ったことはなかったんですが、ちょっと小さいプログラムを書いた時に「ああプログラムって簡単に組めるんだなあ」って思って、結構面白そうだという印象を抱いてなんとなく来てしまったという感じ。あと、萩谷先生が「科学朝日」に書かれていた記事があってなんとなく良く分かんないけど面白そうな世界だなあという印象もありましたし。自分では今の生活は悪くないと思っています。

司会: よしばくんは?

吉羽: 僕がこの学科選んだ理由ていうのは自分の意志とは関係なくて、将来自分にとって武器になるのは何かって考えて、それで決めてしまった。当時は生物の方が実際興味あったし、進路も変更直前まで生物に出してたんだけど、自分の興味を捨てて将来性をとろうと決めた。

司会: それでこの学科に来て3年間過ごしてみて?

吉羽: 結局でも入ってみれば楽しいなっていうのはどこ行ってもそうなんだろうっていう気もするけど。

司会: はまっちゃった?

吉羽: はまっちゃうし。はじめの頃はこの学科って独特だしやだかなって思ってたけど、結局ははまってた。

渡辺:でもここ、はまれるからいいよね。工学部だと嫌でも単位のためとか先生のためとかで結局やらなきゃいけないじゃない。好きでもない実験しなきゃいけないとかないし。あんまりそういう苦労はなさそう。少なくともここにいるメンバーはみんな楽しくやってるんだなあって思いますよ。そういう意味ではすごくいい所だなあと。


ガイダンスに惹かれて

渡辺: 中出さんは?

司会:ある出来事があって、それがなければここに来たかどうか分からない。僕がこの情報科学科を意識するようになった一番のきっかけは、自主ガイダンス(注4)なんです。まず理系に来た理由は、理系は文転できるけど文系は理転できないから。でお医者さんと弁護士さんは僕は興味がなかったのね。どうしてかというと、中高時代に僕のまわりにはその二つになりたいという人が一杯いたので、じゃ僕はやめようって(笑)。それで、後は生物系よりは理工系に興味があったので理一にしました。ちなみに理一に入った当初の進学先の第一希望は経済学部でした。で一年の時に数学科の自主ガイダンスに出た。数学科もかなり興味があったので。でガイダンスで話を聞いていたら、数学科の授業は100%数学ですっていうセリフを聞いて、「そりゃそうじゃん。やめたー」って。考えてみたら当たり前なんだけど、その時まで気づいていなかった。それでボオーッと座ってたらその直後の時間帯に同じ部屋で情報科学科の自主ガイダンスがあったのね。で、「はっ?情報科学って何じゃらほい」と思いながらもまあついでだから聞いてくかと。で、僕は1年生だったから2つ上の当時3年生の人たち(15期生) がやってて、その中に1人とてもパワフルな人がいた。で、情報科学科のことを説明してて、コンピュータのことが話に出てきた時点で「なあんだオタク集団じゃん」と思ったんだけど、目の前にいる人がどう見てもオタクじゃない。非常にパワフル。それで「情報科学科っていいなあ」っていうイメージが植えつけられた。僕はやっぱりその組織にいる人を意識するんで。他のガイダンスにもいくつかいったけど、そんな人はいなかった。で、経済学部がなぜ消えたかというと、一年の時に授業で経済学をとって、分からなかったから。(一同:爆笑)でも後日談ではどうもそれは先生が悪かったらしい。で、実際来てみて、最低限しか期待していなかったものが、例えばウィンドウシステムとか、E-MAILとか全然知らなかったのに来てみたら、非常に便利なことを知ってこれは絶対世の中に浸透するだろうって思った。だから来てから喜んだことは多かったね。ネットワーク化社会も来るのは20年くらい先だろうと思ってたら、1、2年で来てしまったし。

メッセージ

司会: じゃあ、中高生の皆さんにメッセージを。

五十嵐: 何をやるにしても自分のことを客観的に見られるようになると、いいことも悪いこともあると。悪いことっていうのは、のめり込んでいる自分を発見するとさめてしまうということ。 で、客観的に見られるといいこと。うーん、何だろう。

司会: 自分の今やってることの確証が得られる時もあるし、軌道修正するべきだと分かる時もある。それをのめり込んでいる方の自分にフィードバックできる。

五十嵐: それはあるかも知れない。そういう風にずっとしてきたから。後は、「時間は有効に使おう」。

渡辺: 深過ぎる。

五十嵐: 別に情報科学に来いなんていう気は全然ないので。ただ時間を無駄に過ごすのは本当に愚かしいので、別に何を考えていてもいいので。ぼおっとしてる時で自分がなぜぼおっとしているのか見ている自分がいるという訳で(笑)。

司会: そりゃ白けるわな。

五十嵐:そういう意味では自分はあまり時間を無駄に使ってない気がするから。その意味では自己マン(注5)なんですけど。今は笑い事にしてるけど、今しかやれないことって本当に存在するから、今しかやれないことを常に考えてそれをやるというのがいいんじゃないんでしょうか。ということで。

司会: 石井君は。

石井: 自分に向けて言ってる部分も多いんですけど、やろうかやるまいか迷った時にはやってみようと。僕自身もそれを目指したいと思っています。

司会: 遠藤君は。

遠藤: 自分で考えなさいと。で、迷ったら情報科学科に来たらいいんじゃないっていう感じですね。情報科学科を出た後、法律とかに行くのも必要だと思っているんですよ。

司会: それはどうして?

遠藤: なんでかっつうと、1つにはネットワーク関係の法律が全然ない。後、医療の方に詳しい人が出るといいと思ってて。プログラマーが作ったプログラムが人を殺すかも知れないから。だから法律とか医療とか、2つ以上の分野に詳しいことが絶対いいし、人の役に立ちそう。

司会: 2つの分野っていうのは例えば医療システムを病院とかに導入しようとした時に、医学しか知らなくてコンピュータはさっぱりという人と、コンピュータはOKだけど医療のことはさっぱりという人が仕事をするよりは、両方に精通した人がいれば、

遠藤: それがどういう立場の人かは分からないけれど、

司会: そういう人の方が絶対にいい物を作れるはずだということ?

遠藤: そう思います。

五十嵐: コンピュータの知識というよりは、なんか情報科学的な考え方ってあると思いません?そういうのって本当に全分野に効くことだと思うんだけど。抽象的に感じることなので、なかなか口ではまとめられないね。

石井: 情報科学的な考え方ですか?

五十嵐: うちで育たなかったらこういう考え方しないだろうなっていうような考え方。

吉羽: もうちょっと具体的にいって欲しいな。

遠藤: 例えばOS(6)設計できる人なら国一つ作れるかも知れないよね。全然違う話かも知れないけど。

司会: うーん、でも確かに言わんとしてる所は、、、

石井: でもマシンはやっぱり意志がないと思いませんか?かなりギャップが激しいような気がするんですが。あ、でもOSの教科書にはOSとはgovernmentであると書いてありました。

渡辺: で、中出さんの意見は?

司会: 僕も実は3年生の時にOSの勉強した時に、なんて人間的なんだと思った。コンテクストスイッチとか、、、

五十嵐: スケジューリングとか。

司会:そうそう。後、自分の所で処理するか周辺機器にやらせるかとかをスピードとか効率で決めていく所なんて、人間組織に似てるなって思った。だからOSの細かい部分じゃなくね。実際にOSが作れると言うよりはOSの原理がどうなってるかっていう3年生程度の知識だけど、人間的だなって思った。それって遠藤君の意見とはずれてるのかな?

遠藤: うーん。システムを作るっていうか、システムが作れるっていうことを知っている。

司会: 他に情報科学的な考え方っていうのは。

五十嵐: もしかしたらものを抽象化する能力が人より秀でやすい。例えば地下鉄をグラフに直して考えられるかとか、ただ点と線の集合であるようにみなせるかと。そういう考え方が実際ここに来て身に着いた。

司会:僕なんかは抽象化する所までは他の理系でもできるような気がするけど、うちって結構、抽象化は途中段階でそれに対してじゃあうまくやるにはどうするかっていう所まで行くから威力があるんじゃないの?だから今まで全然見なかった所に、あ、ここをこう変えればこういう風になるじゃんていうのが抽象化することによって分かるようになるんじゃないかなあ。

五十嵐: 今井先生の影響が大きいかも知れない。はっきりいって。

渡辺: 何についてもどういうシステムかなっていうのを気にするようになったって感じ。

五十嵐: そうそう、そういう感じ。私が言いたいのは。

遠藤: それはすごくありますね。

司会: 情報科学が一般に役に立つってよしば君がさっき言ってたのは、そういう面も含まれるの?

吉羽: 僕は考え方が根本的に違ってる。例えばOSが人間活動に似てるとは思わないし。情報科学がなんで役に立つのかっていうとコンピュータを使えるようになるから。そういう目に見えて役に立つこと。

司会: なるほど。僕と同じものが視野に入っているけど違うものを見てる訳ね。ま、同じもの見てたらつまんないよね。

渡辺: そういう所が情報科学科のいい所なんじゃないの。いろんな種類の人がいれるし。

五十嵐: 中高生に一言から思わぬ方向に話が進みましたが。 (一同:笑)

司会: どっちの見方も役に立つには変わりないと思うけどね。

渡辺: それを受け入れられるっていう器があるんじゃないの、ここでは。両方居られるっていう。

吉羽: 研究室のカラーも反映してると思うけどね。

渡辺: なんだか良く分からないけどはまってみたいものがあれば来ればいいし。ここって計算機から離れることはないから、そういうのが嫌いじゃなくてちょっとはまって見たいなあと思う人は是非いらして下さい。でも人づき合いも大事にしないとだめだけどね。

司会:中学時代にしても高校時代にしても、自分でほんとにやりたいと思ったものをはまってやれるとか、納得するまでやれるっていうのは絶対、その後どういくにしても役に立つと思うんだけどね。で、うちの学科はやっぱりある意味いろんな雑多な人々がいて、この雰囲気に馴染めれば結構はまって納得できるまでやれる種は色々転がってると思う。

五十嵐:俺は別に「人がこれやってるから俺もこれをやる」っていうのは全然悪いことじゃないと思うんだけど、ついてく時にちゃんと自分の意志が入っているかどうかってことを含んでるわけよ。俺はなぜついていくかということを一度そこで自分で考えて。だから別に自分で考えてっていうのは、独自の行動をしなさいとかそういう意味ではない。

司会: 考えてないとつまずいた時に辛いし。

渡辺: そうだよね。

司会: じゃ、色々議論出てきましたけれども、やっぱり何か一つ自分で納得できるまでやれることを求めている人で、まあ今はやりだからっていういい方もできるけど、このコンピュータサイエンスの世界で過ごしてみたいと思うならば、是非うちの学科に来て下さい。

渡辺: 別にコンピュータサイエンス自体にとらわれることはなくて、今の段階で全然知識がない人だって来れる場所ではあるしね。

司会: 皆さん、本日は長い時間どうもありがとうございました。

脚注
(注1)企業の人:研究室によっては企業から派遣されている研究者と共同で研究を進めるケースがある。高木研もその1つ。

(注2)塾講:塾の講師

(注3)コアタイム:フレックスタイム制度(最低勤務時間さえ守れば出勤時間と退社時間を各個人が決められる制度)において、全員が必ずいなければならない時間帯。

(注4)自主ガイダンス:東大では3年生から専門課程の学科が決まるので、各学科の学生が自主的にパンフレット等を作成し1、2年生に自分たちの学科をアピールする制度がある。教官が公に行うガイダンスに対して学生が自主的に実行することから、これを自主ガイダンスという。

(注5)自己マン:自己満足のこと

(注6)OS:コンピュータを動かすためのベースになるソフトウェア。
座談会(博士) 〜研究生活〜  | 参加者:田浦(D3,14期)、日置(D3,14期)、建部(D3,14期)、高橋(D3,14期)、司会:中出、撮影:吉羽
1996年04月05日
研究分野―田浦

司会: まず皆さんの研究分野と研究目標をお聞かせ下さい。

田浦: 研究分野はプログラミング言語の設計とか、それを作ったりする。目標はまあ、なんでもいいんですけどとりあえずちょっとはこの世界で影響力のあるものを、という。

司会: 影響力を持つっていうのはもう少し具体的に言うと。

田浦:だからね、影響力を持つっていうのは、何ていうかこの人の言うことは企業の人が聞いてくれるとか。例えばアメリカなんかではアーキテクチャの関係で大学にいる人が先進的な意見を持って、で大学だけだとやっぱりなかなかこう本当の意味で世間に浸透するような実現が為されないので、大学の先生が言ったことを企業の人が聞いてそれをその通りやって、まあ実際それで世の中が少しずつ変わっていくと。まあそういう風になれたら一番。
研究分野―日置

司会: じゃあ次に日置さん。研究分野とご自分の研究目標をお願いします。
日置:研究分野は基本的にはビジョン屋さんと画像認識屋さんみたいなのことをやってて、画像から意味を取り出すというか見ているのが何であるかコンピュータに分からせるということをやっていまして。目標っていうのは要はコンピュータに人間的になってもらうというか。これは世間でよくいわれるような奴に聞こえるかもしれないけど、究極的にいえばやっぱり人間に近い、逆にいえば人間の仕組みを理解するというか、人間の構造はどうなっているのかというのか、目ならどんな風に見てるのかっていうのを単に好奇心というか科学的な欲求というか理解できたら嬉しいと思うんで、そういうのが分かるようなものを現象方面とプログラム方面から両方攻めていけたらいいかなと。

司会: 認識っていうのは例えば平面的なデータから3次元的な構造を抽出するとかですか。

日置:だから人間みたい人間みたいっていうと夢みたいだから、実際のところはカメラがこういう変換をかけるからこういうものが映ってるとかいうようなかなりベタベタな話になってしまうんだけれども、最初はやっぱそういうところから積み上げていかないと。僕らっていうのは普段はどうやってるのかっていうその部分を飛ばしちゃって理解した気になってしまってるところがあるんで、その辺をちゃんと機械的にシステマティックに研究するというのがあって。

司会: そのメカニズムを解明していくということですね。
研究分野―建部

建部:研究分野は並列数値処理で、やってることとしては今特にやってるのは偏微分方程式を効率的にしかも高い並列性を持って解けるような解法アルゴリズムっていうのを考えて、それを実際に並列計算機に実装した時にどれくらいの性能が出るのかっていうのをやっています。まあ目標としてはやっぱり世の中これから科学技術計算とかやろうと思えば並列計算しかないわけでそういうニーズが高まっていて、その中で広く使われるようなものが作れればなと思ってます。

司会: この並列化の基本的な欲求というのはやはりスピードなんですか。

建部: もちろん。

司会: 並列マシンとかで計算を速くすると従来よりも遥かに多くの計算が短時間でできるわけですよね。そうするとその計算ができることによって今の社会の何がどう変わっていくのでしょう?

建部:今そんなにある応用をターゲットにしてやってるわけじゃないので具体的に何がどう変わるかっていうのはちょっと言えないんですけど、まあ今まであまりにも複雑ですごいいい加減にしか解けなかったような問題が、そういうすごい計算機パワーのある並列マシンをガンガンに使える様な枠組ができれば解けてしまうと。

司会: かなり汎用的な目的を持っているんですね。
司会: じゃあ、次に建部さんお願いします。研究分野と研究目標は。
研究分野―高橋

司会: じゃ高橋さん、研究分野と研究目標をお願いします。
高橋:ぼくは形状モデリングといわれている、いわゆる形状をどういう風に表現したらいいか理解したらいいかということをやっていて。まあ世間的にCADと呼ばれているシステムだと形状をどう設計しているかというと多面体というか角張ったものがベースになっているというのが基本で、例えば曲面を表す時にはその上にパッチを当てるということになるんだけれども。でまあ、そうじゃなくて曲面ということを先に仮定しちゃって、そういうのを本来の性質として使っちゃうことができるのも面白いと。で、世の中結局多角形ベースなんですよ、基本的に形状の表現っていうのは。頂点があって稜線があって面があって。ぼくのは、そうじゃなくて先に曲面有りきっていうアプローチなんですよ。

田浦: 今の現状は多角形で近似しているようなものを曲面で近似してみようと。

高橋: ニーズとしては今曲面の方が多いからね。逆に曲面から入っていけば、曲面固有の性質を使って情報量が落ちるとかそういうことがあるわけよ。そういう意味では貢献かも知れないね。

司会: ニーズが曲面の方が多いっていうのは具体的に言うと。

高橋: 例えば医療機器の設計であるとか。いわゆる内臓とかね。

司会: あ、人工臓器とかですか。

高橋: うん。そういうのをCADでやってるところもあるし。後は車のボディとかも結構そうなんだけども。

建部: 車のボディって曲面だと結構作りにくくない?

高橋:結構作りにくいけど、でも車のボディとかは基本的に四角形のパッチでとまりやすいからね。それに比べると例えばほらCTとかから臓器の形状を復元したりとか、そういうのは四角形のパッチだけでは全然通用しない話だからそういう方には向いていると思うんだけれでも。また、多面体形状を曲面としてとらえて特徴を抽出するという研究もあるし。ま、個人的な目標としては自分で楽しければいいんだけど(笑)。

海外で学会

次に皆さんが研究活動を通して嬉しかったこととか困ったこととかを日常生活から選び出して頂ければと思います。

建部: まあやっぱり一般的に何がいいかっていうと、月に1回とか2カ月に1回位でどっかに旅行ができちゃうっていう。

司会: それはどうして行けるのでしょう。

建部: まあ学会(注2)があるっていうことですね。

司会: その学会にご自分の論文が出ている。

建部:で、だから学会にかなり頻繁に行けるということと、それでやっぱり何がいいかっていうと、そこで同業者というかいろんな研究者と会って、顔が広くなるとかいうのももちろんあるし、そこでまたすごく有意義な話とかも聞けるし。ある発表をすればその発表について色々な人が何かしらここはこうじゃないのかというような話もあるし、そういう意味ではすごく有意義だし。学会に行っていろんな人と知り合いになって、でまあいろんな大学の先生に話を聞けたりとか自分のやってることを紹介したりとか、世界中に知り合いができて。

司会: それがやはり研究してて良いなと思うところなんですね。

建部: まあ、ついでに旅行もできたり。

司会: なるほど。皆さんはどうですか。

建部: 田浦、首かしげてる。

田浦: そういうポジティブな心境じゃないから俺の場合。

司会: え?どういう心境なんですか。

田浦: もう、早く終わってくれないかなあって。それまでひたすら寝て過ごす。

司会: それじゃ学会の発表直前、他の人の言うことなぞ、

田浦: そうそう、耳に入らない。

建部: その割には発表落ちついてるよね。

田浦: いや、そういう風にしてこそ。そういう風にしないと発表できない。ある境までは人ともしゃべるんだけど、そこを越えるともうしゃべらない。

日置: その時は無心?

田浦: というか、ひたすらイメージトレーニング。話しかけられてもしゃべんない。建部のスピーチ(注3)の時もそうだった。

建部: それって誰にも分かんない話題じゃない(笑)。

田浦: だからね、学会発表をあまり楽しむというのはないなあ。

司会: じゃあ発表終わった後はリラックスして。

田浦: 終わった後はね。でもまたこれでさらに力をつけるにはと。

司会: 絶えず満ち足りることなく。なるほど。

建部: あんまり楽しくないの?

田浦: 楽しむという余裕はないね。

建部: それだとさ、わざわざ時間使っていく意味があんまりないじゃん。じゃあどうして発表するの?

田浦: そりゃやっぱりしなきゃ、置いてかれちゃうでしょ。

建部: それだけのために行くの?

田浦: うん。それだよ。

建部: そのために苦痛を耐えて。

田浦: そうそう。という感じ。

司会: 己れの影響力とプレゼンスを強めるために。

田浦: そうそう。

司会: 闘ってますね(一同:笑)。建部さんはそんなに苦痛とかは味わわないんですか。

建部:ま、修士の頃は発表の前とかは人の発表なんか全然聞けなかったし。そんなの聞いてると自分の発表の内容忘れちゃうんじゃないかとか思って何にもできなかったんだけど、今は自分の前の発表でも一応質問とかできたりしちゃうから。ま、発表はOHPをちゃんと準備していけばさ、後は自分の言いたいことを言えばいいだけだからさ。だからまあ俺はそんなに苦痛っていう感じじゃなくて。まあそんなに好きっていう訳でもないけど。

日置: ここにいたらずうっとここの人間としか会わないから、やっぱり外の世界に出ていくといいんじゃないの。

建部: 学会はもちろんどんどん発表した方がいいと思うよ。

司会: 他に何かありませんか。

田浦: 学生になったら、塾講(注4)をすることをお勧めする。

司会: それはどうしてですか。

田浦: 発表の練習として。なるべくこう生徒が厳しいところ。

司会: 心臓を鍛えるということですね。他の方は?

高橋: 僕は大体年に1回海外に行くっていう感じなんだけど、前はオランダに行きまして。

建部: オランダではどうだったの?

高橋:もちろん発表する前は、人の話なんて聞いちゃいないけれども、でも近年の研究の動向が知れるっていうのは1つあるよね。もちろんプロシーディング(注5)とか見れば分かるけれども。やっぱり中で聞いた方が今先端がどこにいるのかとかが良く分かるから。また、はやりに置いてかれるとちょっとまずいし、はやりとかをじかに知ることができて非常にいい刺激にはなりますね。あとまあ行ったらしばらく帰ってこなくても文句言われないから結構遊んで帰ってくるっというのはあるけれども(笑)。

海外での食生活、そしてアクシデント


建部: 田浦さ、ちょっと話変わっちゃうんだけどさ、海外行って楽しかったことはないの?

田浦: ま、大体早いとこ帰りたいなあと思ってる。
建部: だっておいしい肉あるでしょ。

田浦: 肉おいしくないじゃん。

日置: どこの肉。

田浦: アメリカの肉。

建部: おいしい肉はおいしいんだよ。

田浦: かたいよ...。

司会: 向こう行っても中華とか日本食に行くクチですか。

田浦: いや、そこまでは行かないけど。

司会: マック?

田浦: そう。一人だと大体その手のとこ。向うのなんかバリューセットみたいなのを食べる。それで向うのお姉ちゃんが愛想が悪いんだ、日本のマックと違って(一同:笑)。こっちも英語が聞けないもんだから妙に静粛になって。

建部: ニューヨークの人は愛想が良かったよ。

田浦: 教育されてるんだ。

司会: いろいろありますね。

建部: そういえばなりお(注6)昔××行ったんだよね。

高橋: 行ったよ。ぶん殴られてさ。

司会: ××へ?

高橋: 3週間とちょっと行ってきたんだけれども、期間の半ば辺りに向こうの大学のキャンパス歩いてたらぶん殴られちゃって。顔パンダみたいにはらしちゃってさ。

司会: それはその、強盗みたいなものが?

高橋: うん、そうらしい。殺そうとするつもりはなかったんだろうけれども。金奪うつもりだったんでしょ。なんか4人くらい来て。

司会: 囲まれて?

高橋: うん。それでボッコンボッコンやられちゃって。

司会: (束の間、絶句)

高橋: なんかまあ、結構すごいとこだったね。

田浦: それで金取られたの?

高橋: いや、その時たまたま金持ってなかった。だから渡したくても渡せなかったんだよ。10日間くらい跡がひかなくて、パンダさんみたいな顔してた(笑)。

田浦: 世の中物騒だね。

高橋: 国によっては日本人とかよく狙われるみたいよ。

建部: 田浦もね、成田空港でいきなり盗られたもんね。

司会: それはなんですか?

田浦: それは外国じゃない(苦笑)。初めての海外で。

司会: ウキウキと。

田浦:ウキウキじゃなくてドキドキ(一同:笑)。で、研究室の人はみんなもう先に行ってて、俺だけ確か塾講で遅れて1人で行くわと。で、トラベラーズチェック(注7)を買って、あれってすぐに名前を書きなさいって書いてあるでしょ。だから一生懸命に書いてた。でその時に財布をちょっと脇に置いておいた。で書いてる間に何者かに..。

日置: 成田で?

田浦: うん。

高橋: 日本でもあるのか。

建部: それ以来田浦もう財布とかパスポートとか取り出しやすいところに入れるなんて危ないことはやんないんだよね。

田浦: そうそう。

高橋: どこに入れてるんだろう。

田浦: 首からかけてる。でも最近ついにやめたけど。

司会; 最近は更に奥深くに?

田浦: いやもう、まあいいやと(一同:笑)。めんどくさいから。

建部: 結構大変な目に会ってるよね。

司会: アクシデントってあるんですね。

高橋: そういえばホテルの金庫にトラベラーズチェックを忘れちゃってさ。

司会: え、それでどうなったんですか。

高橋: お金使い切りそうになってちょっと死にそうになった。オランダからイギリスに行く時に金庫に預けたまま出て行っちゃってさ、こっちも向こうも気づかなくて。ちょっとはまったことがあったけど、ぎりぎり間に合って返ってきました。

研究者への道

司会: だいぶ時間も経ちましたので、いよいよですね、「研究者の道を選んだ理由」を。
建部:やっぱりちゃんとした意見として言っておくと、基本的に修士を出ると就職するにしてもドクターに行くにしてももう研究者の道なので、大きく見ればそんなに差はない。だから同じ研究者が企業で研究するのか大学で研究するのかということで。あと強いて言えばドクターコースに行けばうまくいけば3年でドクターが取れる。それ位の差なので、まあ別に企業に行ったってそれから大学の先生になる人もいるので、別にそんなに大きく方向が変わるということもないのでそんなには違わない。

田浦: じゃあなんで修士に行ったの?

司会: そうですね。むしろそこのところが。

建部: だってそれは最初から思ってた。

田浦: まさか産まれた瞬間から思ってたんじゃ(一同:笑)。

建部:やっぱり情報科学を研究しようと思うならさ。学部だとあんまり研究って感じはなかった。学部出てそこで企業に行って研究するなら別かもしれないけどそういうのってあんまりないと思うし、それってあんまり大学に行ったメリットていうのが活かされていないっていうかそこで学んだことがあんまり活かされていない。

司会: ていうことは建部さんはもう情報科学科に行くことを決めた時点で、情報科学科の研究者になろうという意志を明確に持っていらした。

建部: まあ。

司会: いつ頃から持っておられましたか。

建部: 昔からコンピュータに興味を持っていて、中学校か高校の頃にすごい、日本で有名な”TRON”(注8)っていう大プロジェクトが進行していて、それが東大の理学部情報科学科の坂村助教授がやってるという話を聞いて、ここに行こうと。

一同: おー。

司会: そうだったんですか。

建部: 東大に入ろうと思ったのはそれでだもん。だから東大で情報科学科だなっと思って。まあだから昔はそんなに情報っていうのがなかったから、東大の情報科学科に行けばなんか面白そうなことができるなっていう位の気持ちで。

田浦: じゃあ1年のうちからもう情報だって、

建部: 思ってたよ。

日置: っていうか俺も選択肢には入ってたけど、他には電々(注9)とか。

田浦: 俺ね、第2回目の進振りチェンジ(注10)の時に初めて情報に出した。あれって3回位希望出せるでしょ?3回目の時に初めて情報に出した。

司会: チェンジの前は。

田浦: チェンジの前は宇宙。

司会: その頃は最難関でしたか。

田浦: その頃は確かすごかったね。

建部: あきらめたの?

田浦: ご挨拶な(一同:笑)。

司会: その心変わりというのは。

田浦:そもそも大学に来る前や入った当初は、漠然と数学科にいきたいと思っていた。でもやはり数学は、めちゃくちゃ才能バリバリの人でないと、何の役に立つのか悩んでしまうというか、こうあまり役に立たないことをやるといけないというか、きっと大変に違いないと。でまあその反動で一時は工学部をずっと志していたわけ。で、機械工学とかあの辺の本を見たりとかしてたわけだけど。最初のうちはまあ何のために役に立つのか分かってる話っていうことで面白かったんだけど、割と原理自体がもう与えられちゃってて適用ばっかりっていう感じが本を読んでいて自分なりに思って。ちょっとこの中間ていうか何のために役に立つのかって悩まなくて良くてなおかつ理学部的なところということで情報科学科に。

司会: 理学部的というのは。

田浦: 好きなことを考えていいというか。コンピュータの世界は基本的に何考えてもいい世界じゃない。まあアルゴリズムの中には数学も使われてるわけだし、そういうのをこうあんまり大したことなくても役に立つっていう救いがあるじゃない、情報の場合は。

まあそうやって数学っぽい考えがたくさん活かされる場面で、なおかつそれがプログラムという動く形、見える形で実現されるっていうのはいいんじゃないかなあと。

司会: バランス的に自分の欲するところだと。

田浦: そうそう。

まあ俺が読んだその機械工学の本がいけなかったのかも知れない。その本は基本的に内容自体は高校生の内容だったわけ。もちろんそれだけで機械工学が済むとは思わないけど、その本に書いてあったのはとにかくそういうことだったわけ。それで徐々に別のものの方がいいかなあと。

司会: 研究者を目指し始めたのはいつ頃なんですか。

田浦: それはいつの間にか。

建部: 大学入る時以前じゃないの?

田浦: 違うよ。

建部: 大学入る前はどうと思ってたの。

田浦: 4年で就職しようと思ってた。

建部: どこに。

田浦: どっか。

建部: 日置君はいつ頃から情報科学に進もうとして、更にドクターコースに進もうと思ったの?

日置:ここに来る前はコンピュータにはそんなに触ってなくて。俺らが中学になった位から段々パソコンっていうのが出てきて。なんとなく触わる機会はあったけど、でも高くて買えなくて。持ってる奴もいたけど。だからなんか見ててお店とかで触ったりして、面白そうだと思って思う存分使ってみたいと思って。それでコンピュータを触われるところはここだろうと。

建部: 入る時に敷居は高くなかった?

日置: まあそれは別に。俺はあんまり触わったことなかったけど。

田浦: 俺はもうむちゃくちゃ敷居が高かった。だって俺がまずコンピュータに始めて触ったのは大学入ってからで、しかも駒場の情報図学実習ってあるでしょ。あれ全部人の写してたから。

日置: えー。

田浦: 中出君の時はどうだったの?俺たちの時はTURBO PASCAL(注11)でやっていて。

司会: 一緒ですよ。図学の図形を描いたりとか。

田浦: 俺あれもう全部人の写してたから。分かんないんだもん、純粋に。ソーティング(注12)だなんだって言われても何をやってんだか。俺のその時のレベルはだからこうF9を押す(注13)と何かとにかく走ってくれる。でコンパイルが何かも全然知らない。

日置: それはでも別に知らなくて不思議ではないと思うけど。ていうか何かのおまじないみたいなもんで、手続きとして覚えてる訳で理解してる訳ではないと思う。

田浦:これは酒の席の持ちネタなんだけど、何でコンピュータに惹かれたかっていう話で。最初はだからそういう状態だったから、よくコンピュータはすべて2進法で表現してプログラムですべて動いてるとか言うけどさ、PASCALとかで演習してても絶対そんなこと分かんないだよね。PASCALで演習できることっていうのは、例えば答をwriteln(注14)とかで表示して、”Answer is:” 何とかとかで終わるプログラムが作れるだけであって。だから演習やっててもさ、これとワープロとかゲームとかが同一直線上の延長上にあるっていうのが全然分かってなくて。ああいうちゃんとしたプログラムっていうのはなんか別の方法を使って作るもんだろうとずっと思っていたわけ。だからPASCALで演習されても何が言いたいのか全然分からないていう感じだったんだけど。ある時啓蒙書で「TURBOPASCALプロフェッショナルマニュアル」ていうのが町で売られていて。それに何が書いてあったかっていうと、PASCALでのメニューの出し方とか。それは単にどっかを反転表示させてっていうだけの話なんだけど、それをこう見た瞬間に「ああPASCALで何でも好きなことができるんだ」ってことが分かった訳よ。この自分が使ってるプログラミング言語で。それを知って情報科学科に来たと言っても過言ではないくらい。タイミング的にも。

それを1回知っちゃうと、例えばこのアルゴリズムでソーティングするのととこっちでソーティングするのとではスピードが全然違うとか、そういうのが純粋に新鮮な感動としてまた感じられるようになった。それ以前はなんか、別に10秒かかろうが0.1秒で終わろうがどうでもいい訳じゃん。プログラムが何の役に立つのか分かんないんだから。ワープロがこの延長上にほんとにあるんだっていうのが分かった時にとりあえず来てみようかと思うようになった。

司会: ターニングポイントはその1冊の、

田浦: その時に「TURBO PASCALプロフェッショナルマニュアル」にめぐりあってなかったら来てなかったよ、きっと。

建部: そういうのは結構誰にでもあるよね。

田浦: 多分普通の人は小学生、中学生の時に初めてBASIC(注15)に触れたとかなんだろうけどさ。俺はやたらと遅かった。

で、そのグラフィックの演習があったでしょ。あれで中身は全部写して、自分で作ったのはどの演習問題走らせるかっていうのをメニューに出すというそこの部分だけやった(笑)。

メニュー作ったらいい点取れるのかなって思ったらCでした(笑)。

建部: それギャグ?

一同: (一瞬の沈黙の後、笑い)

司会: 他の皆さんはどうですか?

高橋:一応僕は僕は数学科志望だったから。受けた大学も全部数学と名のつくところばっかりで。一応数学科に進むつもりで2年まで上がったんだけれどももうそこで数学ついていってなかったんで、どっかに鞍変えしなきゃいけないかなっていうのが半分(笑)。ただやっぱりできなくても下手のよこ好きっていうかやっぱり好きだったと思うんで、応用数学っていう感じでここをとらえていた感じはする。僕も大学からパソコンとか触り始めたクチなんだけれども、嫌いじゃなかったから。後もう一つは、今図学の話が出たけれども、僕はあれに結構感動した方なので。それがやっぱ嫌いじゃなかったんだと思う。まあ結局形状を扱う世界に入ってきたから言えるんだけれども、目で見えるものを扱うのは好きだっていうのと。ターニングポイントといえばその演習が結構影響あったと思う。

司会: じゃあ研究はずっとしたいと思っていたのですか?

高橋: 分からない。僕も結構成りゆきっていうところもあるから。ただ先生にはなりたいとは思ってた。高校の先生でもいいし。

日置: 僕はゲーマーだって感じ。

建部: BASICでゲームを作って遅いからアセンブラとかそういう?

日置: いやそんなことはできなかったけど。小学校の頃はゲームウォッチ。ああいうのがはやり始めた頃でおもろいなあとかいってやって。それで同時期くらいにP6とか段々パソコンが触われるようになってきて。

建部: PC6001?

日置:うん。それで何か自分で作りたいって思うようになったのかな。なんか自分が書いてそれがその通りに動くだけで面白かった。このキーを押すとこっちに動くとかそういうのが自分の書いた通りにリアクションが来るだけで面白いって思って。それでまあチョコチョコ触りたくなって。でも別にBASICの本に載ってるのを打ち込んでやるくらいで。しかも持ってなかったから学校帰りに店でドーンと座ってわけの分からんアドベンチャーものとか作って遊んで。その延長でコンピュータを本格的に触りたいと思うようになってきて、図学演習とかもまあ自分なりに工夫をしようという形を考えたりして。

田浦: 俺より気がつくのが早かったんだ(笑)。

日置: 他にもあったかも知れないけど、僕が見つけた中ではここが一番自分の好きなことがやれそうだなっていうことで来ました。

司会: じゃもう研究もずっとしたいと。

日置:研究っていうかコンピュータを常に触われる環境がいいかと。特にこれはそんな純粋な動機じゃないんだけど、メールとかニュースとかそういう環境っていうか単体でどうっていうんじゃなくていろんなところにつながっててある意味面白いと。そういう様な環境にいたいなっていうのがあって。周りの環境が気に入って居ついてしまったっていうところが。

情報科学科で体得したもの
司会: なるほど。 じゃ、みなさん色々話をして頂きましたが、そろそろまとめの方向へ行こうと思います。みなさん色々な思いを抱いてこの学科に入ってきて過ごしてこられたわけですよね、それで自分の中で変わってきたもの、あるいは掴んできたものがあれば伝えて頂ければと思うんですが。

建部:別に情報科学科っていうことには関係しないかも知れないけど、学会とかに行ってて自分が何か言ってそれに対してとってもむちゃくちゃ自信に満ちあふれたような答え方をされると、そんなことはないと思っていても一瞬そうかなっていう風にやっぱりどうしても思ってしまうことがあるよね。

司会: ありそうですね。

建部:それは良く考えると実は向こうが大嘘をついてたりとかそういうこともあったんだけど、そういう意味では自分で考えてることっていうのはそれなりに根拠とか考えてるんだからひるまないで、相手が偉い先生だったりすることもあり得るけど、それに負けないで。頑張ってっていうか自信を持ってっていうか。

司会: そういう力を身につけてきたと。

建部: 身につけてきた、かなと。

司会: 素晴らしい。

建部:身につけないとこの業界はやっていけないかなと。それはその時にも思ったし。自分の主張をガンガン言われると、あんまり考えないで聞いてるとそうかなって思っちゃう。自分の考え方っていうのをちゃんと持つようにしなきゃいけないし。人の言うことを鵜呑みにしちゃいけないなと。

司会: 他の人は?

日置: 前はほんとに博士っていうと、なんかすごい偉いことが起こるっていうかかなり進むんじゃないかと考えてたけど、今はまだこれからだっていう風になってきたんだと思う。

建部: そうだよね。博士課程とかいうとさ、「えっ」とか思う感じだよね。

日置:すごい遠縁というかかなり上っていう感じだったけど。博士まで行ってみて自分が研究者としてどう生きるのかとか考えられるようになったというか。途中で就職しても研究やれることはやれるだろうけど、企業だったら特にビジネスだからそんな好き勝手にはさすがにできないし。ここでは雑用とかはあるけど基本的には一応好きなことやらさせてもらってるわけで、そういうことができるのは確かにここにいるからだと。

司会: 他には。

田浦:情報科学科に関してはまあ、他の学科のことを知ってるわけじゃないから全然大したことは言えないけど、いろんなタイプの人間が力を発揮できる所じゃないかなあという気がしている。数学っぽいことが好きな人もやることはたくさんあるし、純粋にコンピュータが好きというかそういう目に見える形で現れるものが好きな人も活躍できるし。その2つが割と直結して、目に見えるものと理づめの世界が結び付いてくれてるという意味では魅力的な学科なのではないかと。自分が来たのもそういうところがあるし。

司会: いろんな人が活躍できる余地があるということは、逆に言うとどういう人が強くなれるか良く分からないということですか?

田浦: それはまあそうでしょうね。とりあえず情報科学に頭っから向いてないっていう人はあまりいないでしょう。ある意味では両方必要だっていう言い方もできるんだけど、何か得意分野があるとそれの活かし方は色々あるという学科なのではないでしょうか。
司会: うまくまとめてしまいましたね。 大体そんな所でしょうか。あと何か言い残したことがあればお願いします。

建部:この前高校生にコンピュータを教える機会があってそれで思ったんだけど、やっぱり何かしら敷居が高いような感じがあるらしくて。来ていた人はコンピュータ触ったことがあるっていう人ばかりで。そういう意味ではなんかパソコン買わないと何も始まらないっていう感じがあって、それはちょっと残念だなと思ったんだけど。それは現時点ではどうしようもないのかも知れないけど、大学に入って情報科学科に来ればいくらでもそういうのに触わるチャンスはあるし、それからでも全然研究すべき内容はいくらでもあるし、いくらでもバリバリにやることはできるということを伝えたい。高校とかまでに全然コンピュータに触われなかったからって、コンピュータ買わなきゃいけないとかそういう感じではない。いくらでも使い放題だし、資源とかでも恵まれてるくらいにたくさんあるのでそういう意味ではまあ、できないことはないと思って。

司会: ガーンと、是非チャレンジして下さいと。分かりました。 皆さん、今日はお忙しい所本当にありがとうございました。
脚注
(注1)CT:人体を頭のてっぺんから足の先まで超音波を使って輪切りにした情報を読み込む医療器具。

(注2)学会:大学等の研究機関が自らの研究成果を広く世の中に伝えるために発表等を行う場。

(注3)建部のスピーチ:建部さんが結婚した時に田浦さんが披露宴で友人代表としてスピーチをしたときのことを言っている。

(注4)塾講:塾講師のこと。

(注5)プロシーディング:学会が、その時発表された研究の全部または一部をまとめて世界中の研究機関に配布する冊子。

(注6)なりお:高橋さんのあだ名。

(注7)トラベラーズチェック:旅行者用小切手。

(注8)TRON:人間生活のあらゆるところにコンピュータを置くことによって人々の生活をより豊かにしようというプロジェクト。詳しくは TRONプロジェクト 参照。

(注9)電々:東大工学部電機電子工学科のこと。

(注10)第2回目の進振りチェンジ:東大は3年生以降で専攻する学科が入学時に決まってないので、2年生の夏学期が終わった時点で各自が提出した志望学科に成績順に進路が振り分けられる。この制度を通称「進振り」という。この制度は各自の希望の変化を反映するために2回まで志望先を変更することができる。

(注11)TURBO PASCAL:PASCALというプログラミング言語のためのプログラミング統合環境。

(注12)ソーティング:たくさんあるばらばらの数字を小さい順に並べ変える操作のこと。色々な手法が知られている。

(注13)F9を押す:PASCALで書かれたプログラムをコンパイルし、それを実行するTURBO PASCALのコマンド。

(注14)writeln:PASCALの命令の1つで、画面に文字や数字を出力させる命令。

(注15)BASIC:プログラミング言語の一つで、単純なプログラムが簡単に書けるため、広く知られている。