インタビュー第2弾:長谷川進さん

プロフィール

12期生。現在NTTデータ通信(株)勤務。

日時:4/28(日) 場所:202教室

中出: まず現在どういう仕事をしておられるのか、その内容を聞かせて下さい。

長谷川: 私は12期の学生でして、その後修士に行って3年前にNTTデータに就職し ました。今年で4年目ですね。で、今は公共事業部というところに所属し ているんですけれども、仕事の内容は郵便振替のシステムを作っていま す。で、入社してから4年間ずうっと同じ仕事です。で、郵便振替のシス テムというものを説明しますと、普通、銀行の振替といいますと皆さんが よく使っているのは、カードである口座に支払ってそうすると即オン ラインで口座に付け込まれるというものですけど、郵便貯金 でも同じように電信振替っていうのがあって端末で払い込むとそのまま 即口座に振り込まれるっていう奴があるんです。ただその場合確かに 口座にはすぐ付け込まれるんですけれども、誰がどういう目的でこのお 金を払い込んだっていうのはその口座を持っている人には全然分からな いわけですよね。というわけで電信の払い込み以外に通常払い込みって いうのがありまして。それはどういうものかと言いますと郵便局でお金 を払い込む時に払込書っていうのがあってそれを使って払い込むん ですけど、そこに通信欄っていうのがあってそこに何でも書けるんです。 例えば一般的に良く使われているのは、通販の会社なんかで通信販売で 何かを売ってるっていう場合に、利用する人は専用の払い込 み書に私はこういう名前でこういう住所に住んでいる人間で、こういう 商品を買うのでお金をいくら払い込みますよっていうのを通信欄に書い て郵便局に持っていくわけです。それでお金を払い込むんですけど、そう するとそこで即口座にお金が入るわけじゃなくて、それを一旦事務セン ターというところに一日分取りまとめて郵送しまして、その事務センタ ーの方で取りまとめて口座に払い込むっていう作業をします。でその後 実際その払込書をソーター機っていうのを使って口座単 位に取りまとめて、それぞれ例えば通販の会社だったら通販の会社にあ なたの会社に今日こういう払い込みがありましたよっていうので郵便局 で払い込んだ払い込み書を郵送するんです。それを使って例えば通販の 会社であれば払い込んだ人のところに商品を送ると。そういうことをし ます。というのが通常の払い込みなんですけど。つまり どういう流れになるかっていうと、払い込み書を郵便局で 払い込んだ後一旦事務センターに郵送して、そこからその口座 に付け込むっていう作業をして、それを取りまとめて口座を持ってる人 に郵送することになって、手作業とか郵送作業が入ってしまうため大体 払い込んでから口座を持ってる人のところに払い込み書が届くまでに1週 間から10日位かかるんです。で、そこがすごく不便だってことでこれを システム化する、というのが仕事の内容です。 簡単に言うと郵便局と事務センターを回線 でつないで、FAXのようなイメージで払い込み書をイメージデータをとっ て読み込んでそれをデータ伝送してその事務センターでイメージデータ を印刷して、それをそのまま自動で封筒に入れて発送する と。それで今まで1週間から10日かかっていたのが2、3日にする、 というようなシステムを作ってます。で、私が入社した年の3月にそのプロ ジェクトは始まって私は4月から配属になって今もその仕事を続けてる んですけども、最終的にできるのが来年の6月頃だから3年以上かけて システムを作っていくと、いうようなことをやっています。 で、具体的な仕事の中身なんですけれども、システムを作るっていっ てもなかなか分からない人もいると思うんですけれども、実際にプログ ラムを作るって作業はしてないです。やってるのはプログラム を作るもうちょっと上位のレベルというか、どういう仕様にするかって いうようなことを決定したりとか、プログラムを作る人っていうのが別 にいるんでそういう人たちが仕様条件を満たしているかをチェックした りとか、後は試験とかそういうことをやっています。 うちの会社っていうのは別にプログラムを作ってい るわけでもなくて機械を作っているわけでもないので、あまりシステム の細かい部分についてはソフトハウスなどに任せているんですけれど、 その代わりにお客さんの業務要件っていうのを把握してそれをいか にシステムとして実現するかっていうその辺の部分をやっています。今 の仕事の内容っていうのはそういう感じですね。

中出: 分かりました。 じゃあ次に、かつてこの学科にいた時にどういうことをやっていらした のか、研究面でもいいですしそうじゃない仕事とかもありましたらそう いう話も含めてお話頂ければと。

長谷川: 僕の場合結構他の人と変わってる面があると思うんですけれども。それ はどういうとこかというと、3、4年の時には...、あ、今って研究室 の配属っていつ決まるんだっけ?

中出: 4年の後期からですね。

長谷川: 僕の時は4年の最初から研究室の配属が決まってて、その時は米田先生の ところにいました。その先生は私が卒業する時に丁度退官されて。とい う関係で修士からは今井先生の研究室にいました。そういう関係で 3、4年でやっていたことと修士でやったことっていうのはだいぶ違うん ですけれども。まず4年の時にどういうことをやったかといいますと、 米田先生っていうのが、 割と何でもするっていう感じの先生で、私が4年になって研究室 が決まった時も、卒論のテーマを決めるんですけれどもとにかく言わ れたのはほんとに何をやってもいいと言われて、先生の方からテーマを 押しつけるっていうのはまったくなくて何でもいいからとにかく自分 で考えろっていう感じだったんです。で、今から考えたらすごく無謀な んですけど、その時私は脳のこととか興味があったんで私は脳の研究が したいって言ったんです。だけど実際具体的にどういう風な方向でやっ ていけばいいとか誰の本でどういう風に勉強したらいいかとか全く分 からなくて。で、先生の方もなんでもやっていいという代わりにこう いう風にやりなさいとかそういうのも全く言わない方で、自分で 甘理先生っていう方の「神経回路網の数理」っていう本があ るんですけれども、まあ全然分からないからその本をとにかく1冊 読んで勉強しようとか思って。で、そういう本を読んだりして毎週1回 セミナーがあるんですけれどもそういう時には本を読んだ結果を 発表して。そうするとそれに対しては米田先生が色々とコメントをして くれてっていう感じで研究をしてました。ということで卒論の内容って いうのも今から考えてもすごく恥ずかしい内容だと思うんですけれども、 まああまりいい出来とは言えないと思います。ただ自分で自信になったっ というか自分で自慢できると思うのは、自分が別に誰から教えられたわ けでもなくて自分でどういう風にやったらいいかっていうのを考えて、 ほぼ自分でやったっていうところです。それが 修士になってからも研究の中ですごく役に立っていると思います。 というわけで4年生の時にはあんまり大した研究もできませんでした。 で、その後ですね、実は私4年生の時の修士の試験に落ちまして1年間研 究生という形でいました。でその研究生の時から今井先生の下で勉強し ていました。 で、今度今井研究室ではどういうことをやっていたかといいますと、 今井先生っていうのもアルゴリズムが専門の先生でして、先生自身がそ うなんですけれども何か1つのことをやるというよりもいろんなことをや るっていう先生でして。私もとにかく研究生で入ってからは色々 面白い論文があるとかこういう面白い研究があるっていうのを色々教 えて頂いて、それを読んだりとか自分なりに考えたりとかとにか く今井研究室にいる時はこれっていう1つの研究をやるんじゃなくて割と 幅広くやってました。えーっと、何を言えばいいかな。

中出: 例えば、最終的に修論でどういう方向にいったかとか。ま、あまり捕ら われずに話して頂けると。

長谷川: アルゴリズムの研究をしていたんですけれども、 結局アルゴリズムっていうのは世の中のどこにでも転がってるようなも のだっていうか。アルゴリズムっていうのは何か問題があった時にそ れをどういう風に解決したらいいかっていう戦略だと思うんですけれど も、その戦略の評価方法っていうのがあってその評価方法を当てはめ た時にこの戦略っていうのがどの程度のものなのかっていうのを評価す る。問題を見つけてそれに対する戦略の評価方法を決めて、で戦略を決 めてそれを評価するっていうのが一連の流れだと思うんですけれども、 これっていうのは別にコンピュータに限らず世の中一般にあることだ と思います。ということでほんと内容として幅広いといいますか特にコ ンピュータに縛られることはなくて、

中出: 実生活でも、

長谷川: そうそう。だからアルゴリズムやってる人っていうのはこれが専門って いうのはない人が多いと思います。実際私がやっていたのは、まず最初ソーティ ングのアルゴリズムの評価っていうのをしました。ソーティングってい うのは例えば数がたくさんあった時に小さい方から並べ変えるっていうやつ で、並べ変えたい数がn個あれば大体 n×log n に比例する位の時間で 解けるっていうのは昔から分かっているんですけれども、それは1個のプ ロセッサを使ってソートした場合はこうなるっていう話なんですけれども。 これをじゃあもっと一般化してプロセッサの数が2個あったらとか3個あっ たらとかもっと一般にn個のプロセッサを使ったらもっと速くなるんじゃ ないかとか。単純に考えたらn個のプロセッサを使えば速さはn倍になる わけだから、n×log nかかるものだったらlog n位で解けるんじゃないかっ ていうのが簡単な直観的な考えなんですけども。一口にたくさんのプロ セッサを使うといってもどういう風なプロセッサのモデルを使うかによっ てソートにかかる時間っていうのも変わってくるんですけれども。で私 が最初研究生の時にやった問題っていうのが、たくさんのプロセッサが 2次元の碁盤の目状に配置されていて、1個1個のプロセッサっていうのが 上下左右ちょうど4つのプロセッサと通信が出来ると。そういうモデルで 1個1個のプロセッサが1個の数を持っている時にその数をソートす るにはどのくらいの時間がかかるでしょうかっていう問題がありまして。 実はそれを解くアルゴリズムっていうのは色々あるんですけれども、た またま今井先生に教えて頂いた論文でこういう風なアルゴルズムをすれば 速く解けるという論文がありまして。ただ実際に数学的にどのくらいの 時間がかかるかっていう正確な証明はされてなかったんですけれど。 じゃあそれを実際に評価してみようっていうことで、実際に解析し まして、結局n個の数のソートをn×log(log n)で解けるという証明をしま した。それが最初に研究生になって今井研に入って自分で見つけること ができた結果ですね。で、簡単にそのアルゴリズムっていうのを説明し ますと、ちょっと絵とかないと説明しにくいんですけど、将棋盤みたい なn×nのマス目があってそこに1個ずつ数が置かれてるとして。私が計算 量を評価し たアルゴリズムっていうのはすごく単純なアルゴリズムで、そのn×nの マス目っていうのを横に考えるとn個の行があるわけなんですけれども、 それぞれのn個の行を並列にそれぞれランダムにかき混ぜるんです。でそ の後今度は列で切っていってn個の列をそれぞれ上から下へソートしてい くんです。単純にいうと基本的にこの2つの操作を繰り返していくと段々 ソートされていくんですね。

中出: ランダムにやっても?

長谷川: そうそう。イメージとしては、一番上の方は荒い目で下の方は段々目が 細かい層になってて砂を細かさの違うものに振り分けていくっていう箱 があって、その上から砂を入れてかき混ぜると、段々粒の大きさ毎に上 から揃っていくっていう感じ。

中出: なるほど。計算量は期待値なんですか?

長谷川: そう。乱数を使ってるんで平均の計算量とかすごく高い確率で n×log(log n)の何倍以内の時間で終了しますよっていうような表現にな るんですけれども。 他にも色々やってまして、結局全然結果が出なかったりしたのもある んですけれども。後は学習理論とかっていうのも興味を持ってまして、 これはあまりおい結果は出せなかったんですけど。学習理論っていうの はどういうものかっていいますと、簡単にいうと過去の事例をもとに学 習していってその結果例えば文字を認識したりとか、そういう感じのこ となんですけれども。後はオンラインアルゴリズムっていうのをやって まして。これはどういうのかって言いますと、入力っていうのが時系列 的に与えられているといいますか、具体的にいうと、うーん何があるか な...。

中出: 実は僕も個人的には噛んだことがあるんですが、OSのページング(注1) とか。

長谷川: そうそう。うーん、でもOSのページングを説明するのはちょっと難しいな (笑)。

中出: 麻雀もオンラインアルゴリズムですよね(笑)。

長谷川: まあゲームとか一般にそうだと思うんだけれども。そうだね、麻雀も1回 に1個のパイを取っていって1回ずつ入力(=パイ)を見ることが出来る んだけれども、将来どういう入力が来るのか分からない状態で、今最善 の選択をすると。そういう状況で最終的に最もいい選択をするためには どうすればいいかというのがオンラインアルゴリズムなんですけれども。 後は計算幾何学というのも今井先生の影響で勉強っていうか研究したり しました。というわけでアルゴリズムと名のつくものだと何でもやるっ ていいますか、特にこれをや るっていうのは全くなくて、色々興味のあることをやるっていう感じで やってました。逆に言うと1個のことをやっているわけじゃないんで、手 を広げ過ぎちゃって結果が出なかったりしたこともあるんですけれども、 そういうようなアルゴリズム全般のことをやってました。

中出: どうもありがとうございます。じゃあ次に、まあ情報科学科でいろんな 研究をなさっていたわけですけれども、そういうものと今現在仕事でも いいし自分自身の考え方とかライフスタイルとかでもいいんですけど 何か昔やっていたことが自分に役に立ってるというか自分に影響を 与えていると思うようなことがあったら教えて頂きたいと思います。

長谷川: 直接の研究内容っていうことでいうと、今僕は研究じゃなくてシス テムを作るっていうことをやっているんで。システムを作るっていって も別に複雑なアルゴリズムを考えたりっていうことじゃないんで、はっ きり言って研究したことが直接役に立つっていうことは全然ないです。 で、役に立っていることがあるとすればやっぱりアルゴリズムってい うのはさっきも言ったように世の中一般にどこにでも転がっていること なんで、考え方っていうのは役に立ってると思います。あと私は個人的 な主義っていうか、教科書読んだりとか先生の話を聞いたりとかってい うのがあんまり好きじゃないんです。人の論文とかを 読むのも好きじゃなくてとにかく自分で考えるっていうか。例えば誰か が定理を発見して論文を書いてるとしたら、自分が分からないクイズが あった時に答を見るのが悔しいっていうかヤダっていう感覚と同じで、 まずは自分で考えたいっていうのか。良く言えばそういう理由で、あと めんどくさいっていうか(笑)。とにかく自分で考えるようにしてまし た。だから人から言われた通りにやるとか教科 書に書いてあった通りにするっていうのはもう絶対に嫌で、極力自分で 考えると。さっきも言いましたけれども4年生の時も卒論は自分で考えて 誰から教えられるわけでもなくて自分で研究したと。まあそういうのが あって、今の仕事でシステムを作っている時にも考え方の基本としてあ るような気がします。だから今仕事をしていてもとにかく上司なり先輩 に言われた通りのことをそのままするとかっていうのはあんまり好きじゃ なくて、とに かく自分なりに考えると。間違っててもいいし全然変な方向に行っても まあ仕方がないと思うんですけれども、とにかく自分の力で考えるとい う習慣はできたと思います。でそういうがやっぱり役に立っていると思 います。 あとアルゴリズムをやってたということが何にでも応用が きくっていうか。特別個々の研究が役に立ってるっていうよりはアルゴ リズムを考え出したりする時の頭の使い方っていうのはなんとなく役に 立ってるような気がします。

中出: かなり一般的な部分ですよね。

長谷川: そうそう。

中出: 考え方の指向性っていうんですかね。

長谷川: どこがどう役に立ってるかって言われてもうまく説明できないけどね (笑)。

吉羽: 長谷川さんの同期の方とか社会に出てる方は一杯いらっしゃいますよね。 それで情報科学科生はこういうところが強いとかこういうところが弱い とか、そういうのはありますか。

長谷川: 僕の場合はシステムを作ってる会社にいるんですけれども、うちの会社 の場合はほぼ理系の人間と文系の人間が半々位なんですよね。ちょっと 理系の方が多い位で。で、理系の人の中でも実際ほんとにコンピュータ を専門にやっていたというかうちの学科のようなところの出身の人って いうのは理系の人の中でもかなり少ないと思います。 当然会社に入ってからシステムを作るための知識とかコンピュータ 関連の知識っていうのは身に付くんですけども、学科でコンピュータの 全般的なことっていうのを4年なり2年なりやっていれば広く浅 く勉強できてると思うんですね。 やっぱり広く浅い知識っていうのがシステムを作る時にはす ごく役に立つと思います。 会社に入る前までは全然コンピュータのことを勉強してなかったってい う人でも確かに会社に入ってから勉強すればそれなりにシステムを作っ ていくという仕事においては何の問題もなくやっていけると思うんです けども、ただうちの学科にいたことによって幅広いというか、コンピュ ータに関する一般常識といったようなものがすごく身についていたと思 います。それはうちの学科を出た人がシステムを作るような会社に入っ た場合っていうのはすごく強みになると思います。

中出: 最後に、これからの情報科学科あるいは情報科学科生に期待すること、 あるべき姿というものがあれば。

長谷川: そうですね。さっきも言いましたように僕は自分の主義として自分で 考えるっていうのを一番大切にしてまして、人から教えられて学んだこ とっていうのはあんまり役に立たないというか自分の身にならないと思っ ています。例えば中学とか高校だったら先生に教えられたこととか教科 書を読んで理解するっていうのはすごく重要なことだとは思うんですけ ども、もう大学の3年なり4年になって大学院に行ったりした時っていう のはもう基本的に、先生と対等だと思っていいと思います。実際はそう じゃないとしても自分の頭の中では対等だという気持ちでいいと思いま す。だから先生っていうのは教えてくれる存在じゃなくって自分も何か 先生の刺激になるくらいのつもりでいいと思います。と。実際はそうじゃ なくても少なくとも心構えというか気持ちの中ではそういうのを持って ないといけないと思うんです。だから先生の言ってることはすべて正し いとか、先生に教えられた通りのことをするとか、先生にテーマを与え られてそれを研究するとかっていうのは、個人的には良くないと思いま す。僕は研究室に配属になった時点で自分が1人の研究者としては誰と も対等なんだっていう気持ちでやって欲しいと思います。それから日本 にいる必要は全然なくて、海外にもチャンスがあれば行くといいと思い ます。僕の場合はさっき説明した並列のアルゴリズムの研究で1回台湾で 発表したことがありまして。それから修士の2年の時にオーストラリアに 行きまして、それはプライベートな集まりで 計算幾何学を専門にしているような先生たちが20人位集まって。12月位 でオーストラリアだと夏なんですけど、海辺の別荘を1週間位 借りてみんなで1週間ずっと一緒にいて遊んだりだとかみんなで 研究の話をしたりだとかっていう生活をしました。 それは今でもすごく心に残ってるんですけれども。その時韓国から来て る人がいたんですよ。多分その時の自分よりも2つくらい年上の人だと思 うんですけれども。で、僕も英語ってあまりうまくなくてオーストラリ アに行った時もあまりしゃべれなかったんですけれども、その人ってい うのは僕から見ても更に英語がそんなにうまくない人だったんです。だ けど自分の研究しているものっていうのが色々頭の中にあって 自分のやってることを人に知って欲しいっていう気持ちがすごくひし ひしと伝わるんですよ。 その人も1週間一緒にいたうち最初のうちは全然喋れ なくて結構だまってたんですけれども、2、3日位しますともうとにかく 自分の研究を人に知ってもらいたいっていう感じでうまい英語じゃなく てもどんどん自分の方から説明していくんです。そうするとやっぱり研 究してる人にとっては英語のうまい下手なんて関係なくて、いかにその 人が面白い研究をやっているかっていうことが重要なことだと思うんで すよね。だから英語が下手でも興味を持って聞いてくれるわけです。そ ういうのを見ててやっぱり、語学力をつけるというよりはとにかく自分 の中に人に伝えたいような研究をするっていうのが大切だと思うんです。 で、とにかく日本の中にいると、僕の場合はアルゴリズムの研究をして いましたけども、本当に同じようなことを研究をしてる人っていうのは 意外に人数が少ないわけです。それよりも海外で同じようなことを研究 している人で、そういう最先端の研究をしてる人と一緒に喋ったり話を 聞いたりっていう機会を持つのはすごく重要なことだと思います。日本 がアルゴリズムの分野で遅れているというわけではないでしょうけど、 アメリカやヨーロッパなんかはアルゴリズムに関しても進んでいると思 います。だか らこれからもし情報科学科に入られましたら、きっと海外に行くチャン スっていうのも来ると思います。そういう時は是非そのチャンスを生か して色々なものを吸収していくといいと思います。

中出: どうも長い時間、ありがとうございました。 =================================================================

(注1)OSのページング:ハードディスクに入っているデータをメモリに 読み込む時の単位をページと呼ぶ。新しいページをハードディスクからメ モリに読み込む時には既にメモリに入っているページのどれかをハードディ スクに退避しなければならないが、その退避するページをどういう基準で 選ぶかによってシステムの性能が変わってくる。このようなページ入れ換 え方法をページングと呼び、OSによって実行される。関連情報は OSの講義 など。