森下研究室 先生アンケート


回答者:森下先生

Q 現在、どのような研究をなさっていらっしゃるのですか?

現在、力を入れているのはバイオインフォマティクス、データマイニング、Web データ解析、XML などのデータベースシステムの研究です。過去には、データベース問合せ最適化、演繹データベース理論、論理型言語等の研究を行っていました。詳しくは研究室のホームページをご覧になってください。

Q 研究室で行われているプロジェクトについて教えて下さい。

(1) バイオインフォマティクス・ゲノム情報科学

約30億塩基からなるヒトゲノムの配列がほぼ決定し、そこにコードされている遺伝子構造の解明には計算機の利用が不可欠になっています。そこで、約300万個に及ぶ EST 配列(mRNAの断片配列)のヒトゲノム上での構造を約1日で計算する高速ソフトを開発し、http://grl.gi.k.u-tokyo.ac.jp/から公開しています。また配列決定後の重要課題は遺伝子機能予測である。我々は約19000種類のヒト遺伝子を対象に、60個の異なる細胞内発現量を解析し、http://bodymap.ims.u-tokyo.ac.jp/ から公開しています。どちらも国内外から高頻度のアクセスがあり、医学・生物学を前進させるゲノム情報科学の奔流をつくることを目指しています。

Gene Resource Locator http://grl.gi.k.u-tokyo.ac.jp/

(2) WWWとデータマイニング

インターネットの普及は巨大なデータベースをPCではなくWWWサーバーに格納する流れを作り出しました。ユーザーはサーバーに高度かつ高速な検索能力に期待しています。我々は、クラス分類問題およびアソシエーションルールに関して独自のデータマイニングアルゴリズムとその実装方式を提案してきています。その精度の高さは ACM SIGKDD が主催した 2001年度 KDD Cupで優勝するなど国際的にも評価されています。

(3) 異常細胞画像分類法

近年、ヒトを含む様々な生物種のゲノム配列が解読されゲノム上にコードされた遺伝子も網羅的に把握されつつあります。このようなゲノム配列決定後に続く研究テーマの一つに細胞分裂時の細胞壁形成、核分裂、細胞骨格(アクチン)形成という表現型に、全遺伝子(タンパク質)がどのように関連しているかを解明する問題があります。しかし、最も原始的な真核生物である出芽酵母においてさえも、全遺伝子の働きは解明されていません。そこで、一つ一つの遺伝子を個別に破壊し、破壊が形態に及ぼす影響をみるため、細胞を顕微鏡撮影した画像を解析するアプローチを展開しています。顕微鏡写真から各細胞を切り出し、細胞壁形成・核分裂・細胞骨格形成の3つの視点から各細胞を分類するシステムを構築しています。

(4) XMLのためのトランザクション管理

1997年ごろよりHTMLの木構造記述方式を保存的に拡大し、データ型やユーザが定義可能な文法やタグを言語仕様に持つ XML (eXtensible Markup Language)の標準化が進むでいます。XMLに準拠してデータを記述する web サイトはまだ少ないものの、データ交換の潤滑化やデータ加工が差し迫っている分野、例えば遺伝子データ記述の分野では広がっており、さらにXMLで書かれたデータに対して問合せを行う言語の標準化(XQuery等)が進んでいます。従来のデータ管理ソフトウエア技法の研究の歴史がもしなぞられると考えるならば、XMLに対するトランザクション管理やデータ一貫性管理をどのように実現するのかが必要になると考え、XMLのためのトランザクション管理システムを構築しています。

Q 所属していらっしゃる研究室ならではの特徴がありましたら、教えて下さい。

特徴というほどではないかもしれませんが、バイオインフォマティクス・データマイニング・WWW・データベースシステム周辺の研究テーマを中心に活動しています。バイオインフォマティクスに関しては、国内の数多くの研究室との共同研究をしています。というのも、我々は生物実験をしないので、生物および医学の研究者とともに共同で有効な情報科学手法を構築する必要があるためです。

他の研究室と同様ですが、国際的な場での研究発表を重視しています。例えば、国際会議での発表やプログラム委員会のお手伝いをしています。また、バイオインフォマティクス用に研究したアルゴリズムを使ってヒトゲノムを解析し、WWWを通じて解析結果を公開していますが、欧米からのアクセスを意識して解析結果やマニュアルは英語で書いています。また欧米のベンチャーや大学チームが参加する国際コンテストに出て、データマイニングソフトウエアの精度を競うなど実世界との接点も大事にしています。

Q 研究室を目指す学生にひとことお願い致します。

研究テーマはいろいろと提供しますが、その中から各人が愛着をもって取り組めるテーマを選ぶことが重要だと考えています。もしくはそれ以外に、各人が興味を持った新しい研究テーマに取り組むことを推奨しています。最初の論文を発表するまでは、いろいろと指導します。それ以降は、独り立ちできるように、自分で研究プランを作成して、研究に没頭することを薦めています。

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<vu@is.s.u-tokyo.ac.jp>
Last updated on 13 Feb., 2002