今井研究室 助手さんアンケート


回答者:丹羽助手

Q 現在、どのような研究をなさっていらっしゃるのですか?

ぼくは、PCやワークステーションをLANで接続されたような汎用の分散環境で、プログラムを高速に実行するコンパイル技法や、ランタイムシステムを研究しています。それと同時に、通常の計算機とは全く違う動作原理に基く「量子計算機」の汎用高速シミュレータを開発しています。

Q 研究室で行われているプロジェクトについて教えて下さい。

現在進行形のプロジェクトは、主に以下のようなものがあります。

(1) 量子計算

次世代計算機として嘱望されている量子計算機のパワーを理論的に解析し、古典計算機との差異を明かにする研究を行っています(ブランチングプログラム、ゲーム理論等)。

また,大規模な実機が存在しないので,シミュレーションを行うことで、量子計算機の実際の振舞い,エラーに対する頑強性等を調査する研究も行っています。

量子計算の研究は、JST、ERATOの今井量子計算プロジェクトと連動しておこなっています。

(2) 計算幾何、計算代数、グラフ

グレブナー基底やスタンダードペアといわれる概念を用いて、線形計画法といった最適化問題を代数学の観点でとらえた時の性質を調査する研究や、グラフを一般化させた単体的複体というものが、綺麗に順序良く分割できるかどうか(shellability)を高速に判定する研究を行っております。

また、webはそのページ集合と、ページ間のリンク関係がグラフ構造をなしていると考えられるので、それを利用した効率の良い検索、表示システムの研究開発も行っております。

(3) ITS、交通量解析

動的にグラフが変化するような場合(工事、渋滞)に,反射推移閉包や全点路間最短路問題、高速に解くアルゴリズムの開発/実装を行っています。

更に現実にそくしたテーマとして、(株)住友電工さんから頂いたデータを元に、高速道並びに一般道において、道路を走る車の旅行時間を高精度で予測するアルゴリズムの研究/開発を行っています。

Q 所属していらっしゃる研究室ならではの特徴がありましたら、教えて下さい。

大前提は「自分が熱意をもって取り組めるしたい研究を進める」ということです。いまだ実現されていない量子計算機という全く新しいパラダイムについて色々思いをはせることも可能です(笑)。

あと、本研究室の特徴として忘れられがちなこととして、応用を常に意識して研究をしている、ということがあげられます。「理論的な研究というのは、よくわからない難しいことをやっている」という風に思われがちですが、本研究室で研究しているテーマは、いずれも実際に解きたい問題、実際に社会で求められている問題を前提にしています。

その問題の構造を明らかにし、解決するアルゴリズムを与え、さらにその理論的構造を理解し、問題によっては、実験によりその有効性を確認するというのが、研究室で行なわれていることです。そういう意味では、非常に実用に近いところに位置している研究室ということができるかも知れません。

Q 研究室を目指す学生にひとことお願い致します。

常に客観的な視点で自分と自分の研究というのを取らえてほしいと思います。研究を行うには、なぜそれが必要なのかという動機づけが必要です。既存のままでは何故いけないのか?きちんと把握する必要があります。その上ではじめて、自分の研究が成立します。更に、自分の研究を公正な目で評価できる能力が必要になります。

また、研究では、自分の研究をするところだけが重要なように思えるかも知れませんが、実はその後ろにあるものも同じように重要で、学部での授業はそういったものを学ぶことになります。

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Last updated on 19 Feb., 2002