情報科学科の先輩に聞く!

第3回 コンピュータは世界を変えられる、ホントだよ

7号館に集まる異才の人たち

――ところで、いまCPU実験のまっ最中なんです。太田さんのときはどうでしたか?

太田 僕はシミュレータと実数の計算に使う浮動小数点演算処理装置(FPU)の係。つくったFPUは、一見すると動いているように見えたけれど、よく調べると挙動がおかしかったんだ。間違いがあって、たまたま動いていたんだね。それを、同じ班にいた安達君が全部書き換えてくれた。

——あ、CPU実験のあとも改良をしていたという人ですね? 僕たち、その人が書いたFPUの実装マニュアルがとても参考になりました。

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太田 マジで? すごいね! 安達さん。彼はね、最初はずっとひきこもっていたんです。でも、1月くらいにふらっと来て、そこから劇的な改良を遂げるんですよ。僕らの実験結果は19秒だったけれど、彼はそのあともずっとひとりで1年くらいチューニングを続けて、結局10秒を切るまでに高速化したわけ。それも、コンパイラを使わなかったんだ。コンパイラが生成したアセンブラのプログラムを、さらに手作業でチューニングして速くしていった。アホでしょ。でも、それが仕事にも活きているんです。

この人はいま、スパコン「京」のアセンブラを書いているんです。「京」は、開発中に国の事業仕分けで、「2位じゃダメなんでしょうか?」と話題になったことがあります。それを1位にする仕事をしたんですね。600万ものコアが集まっているマシンで並列処理プログラムを動かして、ベンチマークをとりながらチューニングしていったんですよ。

——太田さんから見た情報科学科とは?

太田 いまはどんな人がいるの? 僕たちのころは、並列で素数の探索に熱中している人、マシン好きが高じてコンピュータ動物園の飼育係になった人、プログラム言語の美学を語ってやまない人たち、数学がやりたい人。なんかこう、テストの成績が超良いというよりも、いろんな人たちがいた。そこが面白いね、情報科学科は。

——最後に、いま情報科学科にいる人、これから情報科学科に来ようとしている人へのメッセージをお願いできますか。

太田 困ったな……ちょっと大きく言うと、コンピュータは世界を変えられると思っています。ほんとに変えられるよ。個人でも大量の人に同じ物をネットワーク経由で配信できるのは、非常に大きな魅力です。個人でチョコレートを40万人に売るビジネスはできないものね。人より得意なことを、いかに現実世界に応用するか、それは一番楽しい仕事です。
 いま3年生? 大学時代のなかでも、君たちくらいのころはすごく楽しかった、僕は。ぜひ学生生活を楽しんでください。