情報科学科の先輩に聞く!

第4回 10年後の技術と僕らの会社

会社は僕らをどう育てたか
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——実際にビジネスをやってみた感想はいかがですか?

西川 研究者、開発者、ユーザーの視点はまったく違うということを、痛感しています。研究者の視点では、「精度98%」が達成できたらそれはスゴイこと。例えば、スパムメールの分類で、「スパムメールの分類が自動で99%できます」となったら、僕らは「以前は75%だったのに99%になったなんて進歩したなぁ」と思います。

岡野原 100%達成が無理なことは、理論的に実証されているんです。僕ら、証明もできるよね(笑)。でも、ユーザーにしてみれば「100回に1回バグが出るのはどういうことなんだ」となって、休日でもメールが来ます。

西鳥羽 たとえ10万分の1の確率でも、ユーザーにとっては「困るは困る」なんです。

西川 検索エンジンやスパム解析では、形態素解析といって、文章をばらばらに分解して単語に分けたり品詞を調べたりするんですが、そこへ「なんでここで区切れるんだ、区切れないようにしてくれ」なんて、みんなで頭を抱えるような注文もありました。当然のことなんだけど、本当に必要なことは何かを、お客さんの立場からも考えなくてはいけないんですね。製品は、「研究」「開発」「運用」の3つの視点がうまくバランスしてはじめて活用される。どれか軽視すれば、広く受け入れてもらえません。

——起業してから変わったことはありますか?

西川 以前は打たれ弱かったんですけど(笑)。最近は、打たれたらいかに早く立ち直るかが大事だと思えるようになりました。

岡野原 僕は、鈍感力が増したかな(笑)。打たれてもあまり気にしないようになりました。