情報科学科の先輩に聞く!

情報科学科OB座談会「情報のグローバリゼーション」世界が舞台のスゴイ先輩たちが語る“モノ作り”の世界

座談会トップへ戻る

第2回 モノ作りと開発の極意

技術のベースに取り組む面白味
写真

――世界に通用するモノ作りは、どのくらいの時間をかけて実現したのでしょう?

清水 僕の場合はプロセッサですが、僕が入社後すぐに手がけたTRONチップは、設計ツールの自作からはじめて3年がかりで完成させました。それから1チップオフコンCPU、RISCチップなどオリジナルチップを完成させたのですが、チップはほとんど売れなかったです。

僕も作ることばかりに一生懸命で、使われることは考えていなかった。「売れなきゃいけない。できれば身近な製品に採用されたい」と考えるようになって作ったのが、大容量フラッシュメモリを内蔵させたRISCチップです。それが自動車のエンジン制御用に搭載されたのが96年。チップは提供から製品発売まで数年かかるんです。最初の製品発売まで入社から10年弱かかったことになりますね。その後、デジカメブームがあってDRAM内蔵のプロセッサが普及、仕事が広がりました。

飯沢 データベース管理システムをやっている僕の場合も長いですよ。最初のカーネル開発から『G-BASE』という製品になるまでは5年かかりました。それを図書館情報システム『LIMEDIO』に搭載したのが94年。なかなかとれないバグが残っていて、最終的なバグが終息したのが97年。いまは約200の大学図書館で稼働するようになっています。本当に、ゼロから始めると時間がかかりますよね。そのあたりは研究も事業もいっしょです。

――鎌田さんの場合、会社の経営と開発の両立もありますよね?

写真

鎌田 会社の経営は、継続的に売れる製品をタイミングよく市場に投入していかないと、安定しません。僕の会社は最初期は「LOGO」で食べていました。次に開発したのがコンパクトなTCP/IPスタック。ネットワークの成長とともに需要が広がって継続的に売れると判断して、85年頃に開発しました。これで経営基盤ができてきたんですね。

次は家電に注目して、TVがインターネットにつながる時代に向けて「インターネットTV」を開発。これは回線速度がまだ遅くて時期尚早でした。iTRONをやったり、PHSやPDAやゲーム機のデータ通信をやったり……いろんな挑戦をしては挫折を繰り返して、携帯電話になります。NTTドコモのiモードは97年ですが、このとき家電向けに開発していたブラウザソフト「NetFront」のコンパクト版を提案して大ヒットしたんです。「NetFront」が急速に普及するようになりました。iモードまで十数年かかっています。

清水 三菱電機のiモードの携帯電話D501iには、鎌田さんの手がけた「NetFront」と、僕が手がけたDRAM内蔵のCPU「M32R」が入っているんですよ。

鎌田 その節は……あ、別件の会社のことでもお世話になりました。

清水 いやいや。同じ学科を卒業した仲間同士、どこかでつながってきますよね。

鎌田 ほんと、同窓生は大事です(笑)。それでiモード後ですが、会社は2001年に東証マザーズに上場、グローバル展開するようになって、2005年にPalmSource社を買収、いまはPalmSourceのノウハウも活かしてOSを含めたプラットフォームソフトを手がけるようになってきています。