情報科学科の先輩に聞く!

現役学生OBインタビュー「先輩たちの仕事の原点」各界で活躍する先輩たちが教えてくれる“仕事の本質”

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開発結果を製品へ

株式会社東芝|久保田貴大さん 松井一さん(情報科学科31期)
インタビュー年月日
平成28年 3月 23日
久保田貴大  松井一
久保田貴大さんは、萩谷研究室で2014年に博士課程修了。松井一さんは、西田研究室で2005年に修士課程終了。現在、お二人は東芝ストレージ&デバイスソリューション社、半導体研究開発センターに勤務、画像の高画質化について研究開発されている。
熊澤嘉宏、今野裕介(情報科学科三年)
お仕事の話
久保田さん・松井さんは現在どのようなお仕事をされていますか。

(久保田)グループでは画像処理用のプロセッサを作っています。例えば、ステレオカメラ(右目と左目の写真を撮って、そこから奥行きの情報を計算するもの)のLSIを作っていました。最近は高画質化の取り組みを始めています。これは、暗いシーンで綺麗な写真を取りたい、といった要望に応えることを目指しているのですが、お二人カメラはやりますか。

(今野)僕はサークルで写真をやっています。

(久保田)写真をよく撮るとご存知かもしれませんが、露光時間(カメラが光を受け取る時間)を長くするとノイズが少なくなりますが、手ブレで画像がブレてしまいます。そこで、1/15秒くらいのものを16枚連写して重ね合わせます。ノイズは、写真を重ね合わせると消えていきます。厳密な言い方ではありませんが、1/15秒くらいの露光時間で16枚連写すると、16/15秒露光したのような綺麗な写真が撮れます。そういう技術を開発しています。

(今野)なるほど。では松井さんのお仕事についてもお聞かせください。

(松井)私はずっと画像を専門していて、圧縮技術(H.264など)を10年ぐらいやってきました。5年ぐらい前までテレビに映っている画像の圧縮技術をやりましたが、最近テレビ以外にもいろんな分野にその技術を応用しています。画像でもいまだ残っている車載向けの画像処理などに、そういう圧縮してメモリの容量を減らす技術を適用しました。あとはSSDなどのストレージ系でもデータの圧縮技術も開発しています。とにかくデータの圧縮という感じがメインになっています。
学生時代の話
情報科学科を志望した理由を教えてください。

(久保田)懐かしいですね。大学に入るまで数学が得意ではなくて、大学に入ってから単位を落として再履修をしたりしながら長時間勉強してみるうちに面白くなってきて、証明を書くのが好きになってきました。数学科に行こうかとも思いましたが、情報科学科を見てみると理論的な研究もしていることが分かって興味を持ちました。あとプログラミングやアルゴリズムなど数学的な側面があると思いますし、設計したものを実際に動かしてみると面白さが魅力的に見えて、情報科学科に入ってみたいと思いました。

(松井)そうですね。私はとにかくプログラミングが好きでした。それだけですね。で、工学部と比較して、よりは理論的なことを勉強してみたいなと思って、理学部情報科学科を選びました。

プログラミングはいつ頃から始めましたか。

(久保田)恥ずかしいですけど、大学に入ってから「計算機プログラミング」という講義で初めてやりました。

(松井)私も大学に入ってからですね。高校の頃はまだパソコンを持っていなかったので。

(久保田)お二人はどんな感じですか。

(熊澤)僕も大学からです。

(今野)僕は中学校ぐらいから少しかじっているんですけど、まわりに全然できる人がいなくてインターネットを見てやっていただけだったので、大したことはしていませんでした。

(久保田)趣味を共有する仲間がいることは大事ですよね。

(松井)インターネットがあるだけでもましじゃないですか。僕が学生の頃はダイヤルアップだったので……。

(一同)笑

学部時代のことについて

(久保田)情報科学科にいた時ですよね。夏冬夏冬って4学期あると思うんだけど、4色あるという感じですよね。まず課題漬けの3年夏と、CPU実験の冬と、演習Ⅲをやって最後に卒論という感じです。CPU実験が一番印象的だと言う人が多いですが、私にとっては演習Ⅲが一番印象的でした。なぜかというと、演習Ⅲでは、1ヶ月ずつ研究室を回って研究を体験させてもらうという流れなんですけれど、1週間ごとに行う進捗発表に院生の先輩達や先生方も熱心に参加してくれて。特に、ある研究室で、1本の論文を1ヶ月かけて読んだのが印象的でした。それだけかかったのは「(論文を)読めていますね」という合格がなかなか出なかったからなんですけれど、準備してきたところを話し終えるまで先生方と先輩達が3時間も4時間も付き合ってくれて、かなり厳しく見てもらいました。自分で想定していた「ここまでわかっていたら大丈夫だろう」という基準が、自分はとにかく甘かったことに気付かされました。

私たちはCPU実験を終えたばかりなのですが、CPU実験はどうでしたか。

(松井)今は、何の担当があるんですか。

(今野)今は基板係はなくて、コア係、コンパイラ係、FPU係、シミュレータ係の4つです。

(今野)昔は何人ぐらいの班でしたか。

(松井)5人でした。リーダーがいて、シミュレータ、コンパイラ、基板、CADに担当がわかれます。

(今野)CAD係というのは今で言うコア係のようなものですかね。

(松井)そうですね。GUIでハードウェアの設計をします。私はシミュレータ担当だったので、コンパイラ担当と組んでシミュレータの上で動くところまでやりました。

(今野)久保田さんはどうでしたか。

(久保田)ハードウェアとソフトウェアでかなり熱心な人がいたから、だいたい2ヶ月くらいでレイトレは動いていました。僕はそのソフトウェアのよくできる人と一緒にシミュレータを作っていたり、あとはfloat演算のライブラリを作ったりしていました。

(今野)2人でシミュレータとコンパイラを作っていたという感じですか。

(久保田)コンパイラ係はまた別の人です。あまり仕事は分担されていませんでした。

(今野)卒論の頃はどんな感じでしたか。

(久保田)卒論も苦労しました。萩谷研に行って取り組んだのは、暗号の安全性証明を形式体系でやってみるという研究だったんです。プロトコルを形式言語で書いて、証明のステップはその体系の推論規則を使ってやるという研究でした。初めて論文を書いてみる時、一応の目安として、5000語だと言われました。5000語を書いて埋めるということ自体はそんなに難しくありませんが、内容がちゃんとしてること、論理展開がわかりやすくなっていること、間違いがないように書くこととをきちゃんとこなすのは本当に大変です。

(松井)学部時代は楽しかったんですけど、論文書くのが好きじゃなくて、卒論もあまり楽しくなかったので就職したというのが正直なところです。だから、論文はつらい思い出しかありません。学部時代は、普通は勉強しないようなプログラミング言語なども教えてもらえるのが、今から思えば良かったのかなと思っています。

(熊澤)修士や博士の頃はどうでしたか。

(久保田)修士や博士の頃は、だいたいその分野の先行研究なども調べて、だんだん研究が面白くなってきたところでした。修士課程では、量子暗号の安全性証明の形式検証について研究をしました。証明を形式化して、最終的には自動的な検証を目指すこともあるのですが、推論規則が自明なものなのかとか、どこまで自動検証できているかということについては、いろいろな程度があります。

(今野)定理の自動証明などの関係ですか?証明支援系ですか?

(久保田)よくご存知で。

(今野)いえ、僕は名前を知っているだけで使ったことはありません。

(久保田)公開鍵暗号の分野では、形式的な証明は人が全部書きますが、それが合っているかどうかは機械に検査させるという研究もありました。さらに量子暗号分野では、量子的なシステムを検証するための形式体系も研究されていますが、BB84という有名なプロトコルに対してもあまりうまく適用されてないという状況でした。そのため、修士や博士の研究テーマを選ぶときには、量子暗号に形式的な枠組みを適用して証明をする研究をやってみました。

修士課程や博士課程での研究は今のお仕事にどのように関係していますか

(久保田)(大学院の頃と現在とで)かなり分野が違うので直接活用することはないんですが、手早く文献を調べるところや、時間の配分の仕方、あとプレゼンテーションなどはどこに行っても必要になるので、学生時代に教わった説明するときのポイントや話の整理の仕方などは役立っています。英語で論文を読んだり書いたりしていたのも、仕事で英語を使うときに役立っています。

(今野)大学にいた頃は暗号の形式的なことを研究されていて、仕事では画像処理のプロセッサの設計をしていらっしゃるというのは意外な感じがするんですが。

(久保田)そうですね。今は画像処理(高画質化)に関する仕事をしています。

(今野)その画像処理はソフトウェアでやっているのですか、それともハードウェアでですか。

(久保田)そうですね。今はソフトウェアなんですがまだ完成段階ではないです。主にアルゴリズムをどうするか(パラメータのチューニングなど)に力を入れています。

(今野)結構理論的な感じですか。

(久保田)理論的でもあるし、実験的でもあります。先ほど、写真を重ねてノイズを消すと説明しましたが、連続して16枚の写真を撮っている間にカメラの位置がちょっとずつ動いていますので、同じものが同じ座標にあるとは限りません。変なところを重ねてしまうことがあります。あと画面の中に動いているものが写っていると、それに邪魔されて画像が壊れてしまうこともあるので、今はあちこちで写真を撮って、アルゴリズムに対するストレステスト(絵が破綻しないか)を進めています。

(今野)そうすると製品段階などではなく、かなり研究的な感じですね。

情報科学科学生の生活
地下生活はどのような感じでしたか。

(久保田)学生の時は3年生の夏学期から冬学期の前半ぐらいまで東京に家を借りていませんでした。僕は実家が山梨なんですが、山梨でバイトもしていました。その時は家に帰ろうと思ったら新宿から高速バスを使って、学校から家まで片道3時間くらいかかっていました。なので、帰らない日が多くありました。3日に1日くらいは地下に泊まっていたかもしれないです。

(今野)そういえば千葉から通っていて、夏学期は2日に1回泊まっていた同級生もいました。やっぱり実家から通うとなると大変ですね。

(久保田)地下に泊まるとあまり疲れが取れないから次の日集中できないことがありましたが、遅くまで地下で作業している人が他にもたくさんいたので、プログラミングが得意な人に気軽に質問を聞ける環境が与えられていたという点ではすごく良かったと思います。

(今野)僕も大学の近くにアパートを借りているので、夜遅くまで残って優秀な人に教えてもらったりします。松井さんの地下生活はどのような感じでしたか。

(松井)自分は自転車で通っていたので、好きな時間に来て好きな時間に帰っていました。夕方ぐらいに行って深夜に帰ることもありました。近いけどあんまり大学に行っていませんでしたね。

(今野)今僕達は学科PCを持っていて、ノートパソコンを貸してもらっているんですけれど

(久保田)そうですね、我々の時もそうでした。

(松井)そんなのはなかったです。

(今野)地下にパソコンが置いてありましたか?

(松井)そうですね。それは今はないんですか?

(今野)今はもう地下にはデスクトップ型のパソコンはほとんど置いていません。みんな学科PCを使っています。

(松井)それはWindows?

(今野)Windows と Ubuntu のデュアルブートになっています。

(松井)課題は結構家でやっていました。地下にあったのはSPARCでした。たしか先生が、Linuxなんてセキュリティが信用できないからSPARCだ、ということで推奨していたと思います。

(一同)笑

久保田さんは課外活動(サークル、アルバイトなど)はされていましたか。

(久保田)先ほども言いましたが、毎週土曜日と日曜日に山梨の方で塾講師をやっていました。それで学費や生活費を自分でまかなっていましたが、バイトに一生懸命になりすぎたというか、実働2日で14時間ぐらいをバイトに割いていました。バイトに集中していると金曜日まで学校で何していたんだっけ、ということになったりしていたので、それも研究が遅れた原因でした。今思えばもったいなかったなと悔やむことはあります。慣れてくるまでは論文を読むのにも書くのにも時間がかかると思います。研究テーマを見つけるために何本も読むと思います。もちろん何本も読んでいるうちに「ここが問題で、解くと面白そう」というところを見つけるのが早くなり、研究も進めやすくなってきます。その段階になるべく早く到達できたほうが院生として研究を進める上でお得です。私はアルバイトに一所懸命になりすぎたところもあったので、それで自分の研究を進めるのは厳しくなりました。卒論のときに苦戦し、修士1年と博士1年の時もなかなか研究テーマが決まらなくて苦労しました。ただ、塾講師の方でも成果がなかったわけではなくて、生徒さんが志望校に合格したのは嬉しかったです。

松井さんはどうですか。

(松井)学部の時は個人経営の個別指導の塾に家が近かったので行っていましたが、あまりおすすめしません。修士に入ってから先輩の紹介でプログラマーのバイトをやりました。結構お金ももらえるし情報科学科の人だったらこちらのほうが絶対いいと思います。

(久保田)確かに課題以外のプログラミングの練習ができるのはいいですね。僕も四年生の夏から冬にかけて、昔東大の正門の近くにあった財務諸表を自動的に分析する業務をやっているベンチャー企業に手伝いに行きました。頼まれて実用的なプログラムをつくるのは学校では取り組む機会があまりないし、自分のペースじゃなくて相手の希望に合わせて作らないといけないので、結構甘くないと思います。いい経験でしたね。
再びお仕事の話へ
今は2人とも同じ部署にいらっしゃるということですが、どれくらいの人数で活動されていますか。

(松井)70-80人くらいです。チームは10人いないぐらいですが。

(今野)研究開発の流れを教えていただけますか。

(松井)ひとつのテーマに研究から開発まで1人の人が取り組むのが多分一番いいんですが、実際はそういうわけには行かなくて、ここの人員が足りないから手伝いに行ったり、ちょっと余裕がある時にここの新しい部分について研究しようということもあります。周りの状況でそれぞれの人が何をやるかが決まっていくので、1人で全てやる感じではありません。できる人ができるところを割り当てられて、それに対してチームが全力でやるという感じです。

(今野)一日の流れはどういう感じになっていますか。出社時間はどうですか?

(松井)フレックスタイム制度を利用して、9時台に来る人が多いと思います。

(久保田)フレックス制度には基本的にいないといけない時間(コアタイム)というものがあって、勤務開始時間と終了時間を一定の範囲で決められます。僕は朝が好きなので8時前くらいに来て夜は6時くらいに帰ります。キリが悪かったら7時とか8時くらいまでじっくりやってから帰る、ということもあります。

(今野)情報系の学生は夜型が多いような感じがしますが。

(久保田)部内には情報系の人が多いので夜型の人は多いと思います。同級生にも多かったと思いますので、むしろ僕は珍しいと言われます。Virtual Universityで、僕が学部4年の時に座談会があったんですが、プログラマは寝るのが遅いという話になって、徹夜でやれば集中できるという話がありました。夜寝て早朝にやればいいじゃないかと正論を言ったつもりでしたが「あなたそれ本気で言っているの」と先生に言われていました。もちろん本気でした。

お2人が今いらっしゃる部署にはどういうバックグラウンドの方がいらっしゃるのでしょうか。

(久保田)僕の周りはプロセッサを専門している人が多いです。

(松井)いや、久保田さんの周りは同じような人が固まってるけどそれは特殊で、全体としては結構バラバラです。それほどプログラミングが得意じゃない人もいっぱいいます。数学科の人もいるし物理の人もいます。そもそも大学時代の研究と同じことを続けている人はあまりいないかもしれないです。大学の時に専攻したスキルが役に立つというわけではありませんが、論文の書き方やテーマを決め方など他のスキルが役に立つこともあります。

(久保田)かなり門戸は広く採っている部署でもあります。プログラミングやプロセッサという意味では私も素人同然でした。(笑)プログラミングは、博士の最後に量子暗号の安全性証明を半自動的に行うソフトウェアを作った経験くらいしかありませんでした。

研究開発のテーマはどこから出てくるのでしょうか。

(久保田)会社ですので、そのときのお客さんの要求に応えてテーマを決める場合が多いです。ただ、今回のように自社の事業に変化があって自社製品向けのテーマはなくなり、新しいテーマを探すことになれば、みんなでこれからの市場の動向を調査しながら、アイデアを出しあって決めます。

(松井)実際の仕事はそうですね。周りの状況によってテーマを決めているのは事実です。新しいテーマはあまり出せていないかもしれません。全く新しいことを提案するならどうやって事業にするのかを考える必要があります。現在広げつつある事業に関してさらに拡張する提案をするのも難しいと思っています。すぐお金になるテーマもやらないといけないし、将来新しい事業を立ち上げるために新しいテーマも作らないといけませんので、バランスを取るのも難しいです。そのため、プロセッサの専門家ばかりではなく色々な分野の人が集まります。もちろんその分野に詳しい人も欲しいですが、そこまで重視しておらず結構幅広く採っています。研究テーマを選ぶのが得意人よりは、与えられたテーマについて深く考えられてる人を採って、テーマに対するいろいろな知識が集まることで新しいものが生まれます。

東芝の職場の働きやすさはどうですか?

(松井)基本的に働きやすいと思います。見てもらうとわかる通り、この職場では服装も結構自由で、お客さんのところに行くのでなければ、短パンやサンダルはさすがにだめですが、ほぼ自由です。入社する前は昼過ぎに来て深夜に帰ることもできましたが、入社した頃にきちんと時間管理されるようになって、22時よりも前に帰りましょうといったことが励行されるようになりました。他の電機メーカーでは、例えばメールの文面上で敬語や宛先の順番をなどにこだわるところもあると考えれば、東芝は比較的働きやすいと思います。会社の組織もフラットな感じだと思います。

就職して変わったことや変わらなかったことはありますか。

(松井)ほとんどの場合には、就職した方が楽だと思います。土日休みですし(笑)。勤務時間が決まっているから夜になって作業が捗っていても帰宅します。健康になるんじゃないかと思います。大学より楽なのにお金がもらえてこんなに良いことはないと最初は思いました(笑)。

(久保田)僕も博士終了後に結構ヘトヘトで入社しましたが、3ヶ月くらい働いて割と元気になりました(笑)。先ほど松井さんが話した通り、会社には深夜まで残るのはやめて夜10時前にできるだけ帰ろうという話がありましたが、僕は朝方なので10時までむしろ残りたくないので、本当に好きな時間に仕事はできています。勤務時間が決まっているので、計画性をもって限られた時間できちんと進めていくのは大事です。博士1年生になって博士論文のレベルに向けてテーマを探し始めたときに、どのようにサーベイをして、どこの点に検討すれば、新しい研究につなげていくのかをよくわかりませんでした。ここを掘ってみようと思ったところが空振りだったり、実は重要じゃない問題を頑張って考えたり、簡単なことを難しく考えたり、色々と迷走して、グルグル堂々巡りをして数カ月間成果が出ないこともありました。長くやったからといって進むとは限らないと思いました。そういう時には助教の先生や先輩が助けてくれるので、経験者の知恵に頼っていく要領も今思えば必要だったと思いますが、僕は要領が悪いタイプでした(笑)。
後輩へ一言
進振り前の学生に一言お願いします。

(松井)プログラミングが好きだったら情報科学科が一番向いているというのは言えると思います。情報系他学科を出身した人と話しても授業や演習で理論的なところをきちんとやっているところは結構少ないです。そういう意味ではプログラミングの意味のわからない人は来ないほうが幸せかもしれません(笑)。

(久保田)進振りには選択肢が多くて、理論的なこともしっかりできるから情報科学科を選ぶのは正しいと思いますが、計数工学科とか電子情報とかもあるので、ちゃんと見比べて決めるのがいいと思います。僕は結構視野が狭くなりがちなタイプであまりそういう検討をしていなくて、それで情報科学科に入ったけど結果オーライでした。(笑)こればっかりだと危険だと思うので、情報科学科だとこういう点に興味があって、他のところだとこういう点に興味があることを書き出して、リストアップしてみて、検討すればいいと思います。そうしてみると冷静になれるかもしれません。僕みたいなちょっとボケた人とか、視野が狭くなりがちなタイプだったらぜひやってみてください。個人的には最近になってそういうことに気をつけています。(笑)

学部生向けに一言お願いします。

(久保田)技術に対して目を肥やしてほしいと思います。色々な論文があって、インパクトが大きい優れた成果が強いものと、それなりのものがあります。それなりのものを見て満足してほしくないし、自分の研究でも高いところを狙って、目線を高く持ってほしいと思います。なんでも「すごい」と感動しているレベルだと、想像できる範囲でしか成長していけないと思うし、研究にも生き詰めると思います。そのためにはいい論文、いい成果を出している論文をたくさん読み、みっちり隅から隅までどこがすごいと考えながらよく味わって勉強したり研究するべきです。掘り下げることをするといいと思います。僕はちょっと目線が低くてだめだったことが本当に多かったな、とそれは経験を積んでから痛感したことです。

(松井)大学と大学院では違うという印象を持っていて、プログラミング好きだったら情報科学科へと先ほどは言いましたが、大学院で研究する上ではまた違うかもしれません。選ぶテーマ次第かもしれませんが。理論が好きなのと実験が好きなのはまた違うのかと思います。

(今野)理論を勉強するのと自分で研究するのと違いですね。

(松井)自分は研究好きじゃなかった(笑)ので就職したんです。ただ、好きではないものの経験した上で選択したからよかったなと思います。大学院に行ったら研究が好きでそのまま博士に行く人もいるし研究が好きじゃなくて就職する人もいます。好きじゃなくても好きじゃないなりにやりきった上で就職したら、多分無駄だと思う人もいるだろうし実際無駄なこともあるかもしれませんが、きっと将来役に立つかと思います。研究嫌いでしたが会社に入ってから論文を書いたこともあります。その時は、製品化に向けて開発していく意義を自分の中でしっかり持って書けました。もし今は研究が嫌いだとしても大学での経験は将来のための練習だと思ってやりきってみれば役に立つかと思います。