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理論屋の醍醐味

最後に、理論分野のおもしろさを語っていただけますか?

萩谷:いろいろな分野への広がりがあることですね。自分自身は生物や化学の人たちと生物分子コンピュータを研究していますが、理論はいろいろな分野に浸透していきます。

研究の最前線には、やっぱり新しいことをやっていくという、開拓地にいる感じがあります。


今井:理論は実際には形のないものだけど、モデルもまたモノづくりなんですね。物理なら、物質とエネルギー、自然を解明するのが目的ですが、私たちは、自分たち用の自然をつくっています。実は自然を計算によって理解しようという挑戦をしてるんです。

いまの計算機を題材にして問題を解くと同時に、高性能並列計算、あるいは分子計算や量子計算というふうに、時代の先端、次世代のものにまで足をかけられる。現実の世界に接点を持ちつつ、10年、50年先のことができるのが楽しいですよね。また、いまの量子暗号システムの研究がそうなんですけど、理論をやっているほど幅広い多様な分野の優秀な研究者・技術者に出会えます。頭の中で将来を描いたものが、そういうつきあいを通して現実になる、夢が実現できる、うれしさも実感しています。

須田:私は、いまあるものをしゃぶりつくす、使い倒す、という姿勢なんですが、理論にも足を置いています。理論の結果って、強いですね。書いてもう7、8年になる論文に、いまだに引用が増え続けています。

いまあるものを使いつくす技術は、これはこれで楽しいのですが、10年もたてば廃れてしまうでしょう。理論から出た結論は、廃れることなく生き続け、50年後、100年後まで残っていきます。

現実の世界に接点を持ちながらも、10年、50年先のことができるのは、理論屋の冥利だと思います。

実験結果は生鮮食料品だけれども、理論は缶詰、瓶詰めなんですね。

須田:腐らないという比喩なら、ダイヤとか金とか言ってくださいよぉ(笑)。

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